煎茶、ダージリン、鉄観音、プーアル——お茶の名前は無数にありますが、実はすべてのお茶は同じ植物(チャノキ / Camellia sinensis)から作られています。違いを生むのは製法、なかでも「酸化発酵をどこまで進めるか」。この軸で整理したのが中国茶に由来する六大茶類という分類です。
分類の鍵は「酸化」
茶葉は摘んだ瞬間から、葉の中の酵素によって酸化が始まります。リンゴの切り口が茶色くなるのと同じ現象です。この酸化を——
- すぐ止めると緑茶に
- 完全に進めると紅茶に
- 途中で止めると烏龍茶(青茶)に
なります。つまり緑茶と紅茶は対極にある同じ葉、という関係です。
六大茶類の全体地図
| 分類 | 酸化度 | 代表的なお茶 |
|---|---|---|
| 緑茶 | 不発酵 | 煎茶、玉露、龍井(ロンジン) |
| 白茶 | 微発酵 | 白毫銀針、白牡丹 |
| 黄茶 | 弱後発酵 | 君山銀針 |
| 青茶(烏龍茶) | 半発酵 | 鉄観音、東方美人、凍頂烏龍 |
| 紅茶 | 完全発酵 | ダージリン、アッサム、キームン |
| 黒茶 | 後発酵(微生物) | プーアル熟茶 |
※「発酵」という語が慣用的に使われますが、緑茶〜紅茶の「発酵」は酵素による酸化であり、微生物が関与するのは黒茶だけです。
日本茶はほぼ全部「緑茶」
煎茶、玉露、抹茶、ほうじ茶、玄米茶——日本で飲まれるお茶の大半は、蒸して酸化を止めた不発酵茶=緑茶の仲間です。同じ緑茶でも、中国式は釜で炒って酸化を止めるため(釜炒り)、香ばしい香りになります。蒸しか釜炒りか、という違いは飲み比べるとはっきり分かります。
烏龍茶は「半発酵」のグラデーション
青茶(烏龍茶)は酸化度15%前後の軽やかなもの(文山包種)から、70%近い紅茶寄りのもの(東方美人)まで幅広いグラデーションを持ちます。「烏龍茶」と一括りにせず酸化度の軸で見ると、選ぶ楽しみが一気に広がります。
まとめ — 地図があれば迷わない
新しいお茶に出会ったら、まず「六大茶類のどこに位置するか」を確認してみてください。酸化度という一本の軸の上に置くだけで、味の予想がつき、好みの探索が体系的になります。
今後、それぞれの茶類を1本ずつ掘り下げる記事を書いていきます。