ORIGIN — COUNTRY / TEA
スリランカ
セイロン / SRI LANKA / CEYLON / ディンブラ / ウバ / ヌワラエリヤ / キャンディ / ルフナ / DIMBULA / UVA / NUWARA ELIYA / KANDY / RUHUNA
インド洋の島で年間を通じて摘採される紅茶の産地。標高でヌワラエリヤ・ディンブラ・ウバなど7つの区分に分かれ、地域ごとに「クオリティシーズン」と呼ぶ旬を持つ。GIとライオンの証明商標で「Ceylon tea」の名を守る。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| スリランカは北緯5度55分〜9度51分・東経79度42分〜81度53分に位置する熱帯の島で、茶の栽培は海抜0mから標高1,200mを超える高地まで及ぶ | srilankateaboard.lk | L1 |
| 地理的表示(GI)明細書は栽培地を標高でlow country(海抜〜600m)・mid country(600〜1,200m)・up country(1,200m超)の3区分で語るのが一般的とする | srilankateaboard.lk | L1 |
| 7つの産地区分のうちヌワラエリヤ(平均標高約2,000m)・ディンブラ(標高1,100〜1,600m、茶園はすべて1,250m超)・ウバ(1,000〜1,600m)がHigh Grownに、キャンディ(標高1,300m未満)がMedium Grownに、ルフナとサバラガムワ(いずれも海抜〜600m前後)がLow Grownに区分される | teasrilanka.org | L2 |
| 南西モンスーン(5〜9月)と北東モンスーン(12〜2月)の2つがあり、中央山地がこれを遮る分水嶺として働くため、産地ごとに気候差と収穫の旬が生まれるとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 東部ウバの「クオリティシーズン」は7〜9月ごろで、南西モンスーンの乾いた風がエスカープメントを吹き抜ける時期に当たるとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 西部ディンブラの「クオリティシーズン」は年始から3月または4月初旬までとされ、乾いた冷涼な風が吹く時期に当たるとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| ヌワラエリヤの町自体の標高は1,868mで、2〜4月ごろが乾季とされる(Tea Boardの産地ページではこの時期を「クオリティシーズン」と呼んでいない) | srilankateaboard.lk | L1 |
| 複雑な地形と年間を通じた気候変化により、休眠明けの一斉萌芽(フラッシュ)でなく年間を通じた摘採が行われる。全島46の農業生態区分のうち25区分が茶の栽培に用いられるとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| GIが認める栽培・加工地域はスリランカの13県(Badulla・Colombo・Galle・Hambantota・Kalutara・Kandy・Kegalle・Kurunegala・Matale・Matara・Moneragala・Nuwara Eliya・Ratnapura)で、ブレンド・フレーバー加工・最終包装は島内全域で認められる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 「Ceylon tea」を名乗れる製品はオーソドックスの葉茶紅茶・オーソドックス-ロータルベン紅茶・CTC紅茶、緑茶、白茶(シルバーティップス・ゴールデンティップスを含む)の3系統に限られる | srilankateaboard.lk | L1 |
| GI明細書のオーソドックス紅茶の等級表にはBOP・BOP SP・BOPF・BOPF SP・FBOP・Pekoe・Pekoe1・BOPA・OP1などが並び、いずれも葉の大きさと外観による分類とされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 文字商標「Ceylon tea」はスリランカ国内の登録番号153931として2011年に初回登録され、2020年に10年更新された | srilankateaboard.lk | L1 |
| ライオンの図柄を含む証明商標「Ceylon tea symbol of quality」は登録番号92015で2005年に登録され、2018年の更新で2029年まで有効とされる。使用にはスリランカ国内での梱包と純粋なセイロン紅茶であることなどの条件が課される | srilankateaboard.lk | L1 |
| コロンボ茶オークションは1883年、コロンボの貿易商社の敷地でロンドン・ミンシングレーンのオークション方式にならって始まったとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 輸出前にはブレンドに使った茶園・グレードの配合とフレーバーの種類・量を記した書類をSri Lanka Tea Boardへ提出することが義務づけられているとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 2024年の輸出量は246百万kg(2023年242百万kg)、輸出額は14.36億米ドル(2023年13.1億米ドル)で、世界シェア約13%の世界4位の茶輸出国と報じられている(2023年にインドが3位に浮上しスリランカは4位に後退したという) | historyofceylontea.com | L3 |
| 「pure Ceylon tea」の世界シェアは約10%にとどまり、ケニア産の台頭でシェアは低下傾向にあるとされる。輸出の過半はバルク(量り売り)茶で、小分け・ブランド品などの付加価値品は輸出全体の40〜45%程度とされる | en.wikipedia.org | L2 |
| 1869年、キャンディ近郊マドゥルシマの農園でコーヒーさび病(Hemileia vastatrix)の最初の兆候が現れ、10年余りでセイロンのコーヒー産業を壊滅させたとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 1867年、キャンディ近郊デルトタのロレコンデラ茶園(コーヒー農園に隣接する20エーカーの土地)で商業的な茶栽培が始まり、1875年に最初の23ポンドがロンドンへ出荷されたとされる。GI明細書はこの担い手を「セイロンで茶に成功した最初の栽培者」であり「最初に試みた者」ではないと明記する | srilankateaboard.lk | L1 |
| 「セイロン」は英国統治下(1815〜1948年)の呼称で、1948年2月4日の独立後も国名として四半世紀近く残った。「Ceylon tea」の名は貿易上1880年代から使われているとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 1972年の新憲法制定でスリランカ民主社会主義共和国という国名になったが、紅茶やシナモンなど「最も知られた国のブランド」には「セイロン」の名が残ったとされる | srilankateaboard.lk | L1 |
| 日本の紅茶輸入は2024年確定値で15,039,494kg・146億5,034万円(前年比数量+10%・金額+9%)、2023年は13,703,584kg・134億5,978万円だった | tea-a.gr.jp | L2 |
百科
位置と地形
スリランカはインド洋に浮かぶ島国で、北緯5度55分から9度51分、東経79度42分から81度53分の熱帯に位置する。茶の栽培は海抜0mから標高1,200mを超える中央高地まで幅広く広がり、地理的表示(GI)の明細書は栽培地を標高でlow country(海抜〜600m)・mid country(600〜1,200m)・up country(1,200m超)の3区分で語るのが一般的とする。業界団体TEA(Tea Exporters Association of Sri Lanka)の産地ページも同じ閾値でLow Grown・Medium Grown・High Grownと呼び、両者の区分は一致する。南西モンスーン(5〜9月)と北東モンスーン(12〜2月)の2つの季節風があり、その間の3〜4月・10〜11月は両モンスーンの間の雨(inter-monsoonal rain)の時期とされる。国土中央の山地がこの2つのモンスーンを遮る分水嶺として働くため、島の東側と西側で気候の傾向が異なり、これが産地ごとの旬の違いを生むとされる。
7つの産地区分とクオリティシーズン
茶の産地は慣行として7つの区分で語られる。ヌワラエリヤ(平均標高約2,000m)・ディンブラ(標高1,100〜1,600m、茶園はすべて1,250mを超える)・ウバ(1,000〜1,600m)はいずれもハイグロウンに区分され、キャンディ(標高1,300m未満)はミディアムグロウン、ルフナとサバラガムワ(いずれも海抜〜600m前後)はローグロウンに区分される。複雑な地形と年間を通じた気候変化により、休眠明けの一斉萌芽(フラッシュ)ではなく年間を通じた摘採が行われ、全島46の農業生態区分のうち25区分が茶の栽培に用いられるとされる。これに代わって語られるのが地域ごとの「クオリティシーズン」で、東部ウバは南西モンスーンの乾いた風がエスカープメントを吹き抜ける7〜9月ごろ、西部ディンブラは乾いた冷涼な風が吹く年始から3月または4月初旬までがそれぞれのクオリティシーズンとされる。ヌワラエリヤの町自体は標高1,868mで、2〜4月ごろが乾季とされるが、Tea Boardの産地ページはこの時期を「クオリティシーズン」とは呼んでいない。
コーヒーからの転換と紅茶の始まり
1820年代、英国植民地統治下でコーヒー栽培が拡大し、1870年代半ばにはセイロンが世界最大のコーヒー産地になったとされる。しかし1869年、キャンディ近郊マドゥルシマの農園でコーヒーさび病(Hemileia vastatrix)の最初の兆候が現れ、10年余りでこの島のコーヒー産業を壊滅させたとされる。中国から輸入した茶の木を使う栽培の試みはこれより早い1824年ごろまで遡るとの記述もあるが、商業栽培として確立したのは1867年で、キャンディ近郊デルトタのロレコンデラ茶園、コーヒー農園に隣接する20エーカーの土地で始まった。1875年には最初の23ポンドがロンドンへ出荷されたとされる。GI明細書はこの栽培の担い手について「セイロンで茶に成功した最初の栽培者」であり「最初に試みた者」ではないと明記しており、単純な発見者の物語ではないことをうかがわせる。2017年にはロレコンデラの茶園開墾から150年を記念する行事が開かれたとされる。
「セイロン」の名前とGI・商標
「セイロン」は英国統治下(1815〜1948年)の呼称で、1948年2月4日の独立後も国名として四半世紀近く残った。「Ceylon tea」の名は貿易上1880年代から使われているとされる。1972年の新憲法制定でスリランカ民主社会主義共和国という国名になったが、紅茶やシナモンなど「最も知られた国のブランド」には「セイロン」の名が残ったとされる。「Ceylon tea」は地理的表示(GI)として保護され、GIが認める栽培・加工地域はスリランカの13県で、ブレンド・フレーバー加工・最終包装は島内全域で認められる。名乗れる製品はオーソドックスの葉茶紅茶・オーソドックス-ロータルベン紅茶・CTC紅茶、緑茶、白茶(シルバーティップス・ゴールデンティップスを含む)の3系統に限られる。文字商標「Ceylon tea」はスリランカ国内の登録番号153931として2011年に初回登録され、2020年に10年更新された。ライオンの図柄を含む証明商標「Ceylon tea symbol of quality」は登録番号92015で2005年に登録され、2018年の更新で2029年まで有効とされる。使用には消費者向けパッケージのみに使うこと、100%純粋なCeylon teaであること、スリランカ国内で梱包すること、品質基準を満たすことという条件が課され、海外の輸入業者やパッカーがCeylon teaだけを詰めていても使用は認められない。ライオンの紋章と「Ceylon tea」の結びつきは1940年に遡り、1966年からパッケージの商標として使用が始まったとされる。
産業構造とオークション
コロンボ茶オークションは1883年、コロンボの貿易商社の敷地でロンドン・ミンシングレーンのオークション方式にならって始まったとされ、1839年設立のCeylon Chamber of Commerce、1894年設立のColombo Tea Traders' Associationがその慣行を監督してきたとされる。近年は物理開催と同じ方式のオンライン取引に移行しており、史上初のオンラインオークションは2020年4月4日に実施されたとされる。輸出前にはブレンドに使った茶園・グレードの配合とフレーバーの種類・量を記した書類をSri Lanka Tea Boardへ提出することが義務づけられているとされる。業界構成としては小規模生産者397,233戸(2005年時点)、茶園(エステート)328園(うち民間企業運営293・国営35、2018年時点)、登録茶葉業者1,596、稼働中の登録工場782が挙げられている。2024年の輸出量は246百万kg(2023年242百万kg)、輸出額は14.36億米ドル(2023年13.1億米ドル)で、世界シェア約13%の世界4位の茶輸出国と報じられ、2023年にインドが3位に浮上しスリランカは4位に後退したという。ただし「pure Ceylon tea」としての世界シェアは約10%にとどまり、ケニア産の台頭でシェアは低下傾向にあるとされる。輸出の過半はバルク(量り売り)茶で、小分け・ブランド品などの付加価値品は輸出全体の40〜45%程度とされる。緑茶は20世紀初頭から米国市場向けに生産が始まり、輸出量に応じたボーナス制度で振興されたが1936年に輸出停止、生産・輸出は1982年に再開し、1983年に最初のインスタント紅茶工場が稼働したとされる。
等級の記号
GI明細書のオーソドックス紅茶の等級表にはBOP(中くらいの大きさで整った砕葉)・BOP SP・BOPF(BOPより小さくダストを含まない)・BOPF SP・FBOP(ティップを伴うことが望ましいとされる)・Pekoe・Pekoe1・BOPA・OP1(長く針金状に強く撚れた葉)などが並ぶ。これらはいずれも葉の大きさと外観による分類で、味の品質を直接示すものではないとされる。標高語と等級を組み合わせた「ハイグロウンBOPF」のような表記が茶商のあいだで広く使われており、標高区分と等級記号は別々の情報として商品名に併記されることが多い。
典型として語られる香味
ウバの茶はメンソールを思わせる独特の香気で語られることが多い。これは東側のクオリティシーズンにあたる乾いた季節風の時期に作られる茶の特徴として一般に語られる表現であり、産地全体の傾向であって個々のロットの評価ではない。
日本との関係
日本の紅茶輸入は2024年確定値で15,039,494kg・146億5,034万円(前年比数量+10%・金額+9%)、2023年は13,703,584kg・134億5,978万円だった。輸入先を国別に見た内訳は日本紅茶協会が公開しているが、原典のPDFは本稿ではまだ開けておらず、スリランカの実数量・順位は確認できていない。
観測の注記
観測所の産地判定は、商品の産地欄に国名「スリランカ」だけでなく、ディンブラ・ウバ・ヌワラエリヤ・キャンディ・ルフナといった地域名がそのまま入る商品を多く含む。このページのaliasesには国名と旧称に加えてこれらの地域名を暫定的に含め、地域名で分類された商品もこの産地ページに結びつくようにしている。将来、地域ごとに独立した産地ページ(level: region)を作る段になれば、この暫定措置は解消する予定である。
買い方の手引き
「セイロン」と「スリランカ」
商品名には国名「スリランカ」と旧称「セイロン」の両方が使われます。「Ceylon tea」は地理的表示(GI)と証明商標で守られた名称で、スリランカ国内で栽培・加工され、決められた基準を満たした紅茶・緑茶・白茶だけが名乗れます。商品名としての「セイロン」と「スリランカ」に意味の違いはなく、店の表記の好みによる使い分けです。
7つの産地区分と標高帯
商品名にはディンブラ・ウバ・ヌワラエリヤ・キャンディ・ルフナ・サバラガムワ・ウダプッセラワという地域名が、国名の代わりか併記で使われます。ヌワラエリヤ・ディンブラ・ウバ・ウダプッセラワは標高1,200mを超えるハイグロウン、キャンディはミディアムグロウン、ルフナ・サバラガムワはローグロウンです。標高語だけで地域名の無い「ハイグロウンBOPF」のような表記もあります。
クオリティシーズン
ダージリンやアッサムの「フラッシュ」に当たる旬の呼び方で、地域ごとに時期が違います。ウバは7〜9月ごろ、ディンブラは年始から3〜4月ごろがクオリティシーズンとされ、商品名に「クオリティシーズン」「春摘み」「夏摘み」のような表記で示されることがあります。
等級の読み方
BOP・BOPF・FBOP・OP1などの記号は葉の大きさと外観の分類で、味の格付けではありません。店独自の合成表記(EXOPなど)も見られます。同じ茶園・同じロットでも内容量が違えば単価は変わるため、比べるときは100g換算で見ます。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
茶種の内訳
紅茶130
観測した商品
ほか100銘柄。
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