TERM — GRADE / COFFEE
SHB
STRICTLY HARD BEAN / ストリクトリー・ハード・ビーン
中米の生豆で使われる標高分級の一区分。「一定の標高以上で育った」ことを示す表記で、欠点数やカップ品質の格付けとは別の物差し。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| Cafe Imports の等級表(2020年1月付)はグアテマラを SHB 1600〜1700m・FHB 1500〜1600m・HB 1350〜1500m の3段とする | cdn.cafeimports.com | L3 |
| 同社のグアテマラ紹介ページも同じ数値(SHB 1600〜1700masl・FHB 1500〜1600masl・HB 1350〜1500masl)を掲げる | cafeimports.com | L3 |
| 同じ等級表はコスタリカの最上位の区分を「SHG/SHB」1200m以上と両表記で示す一方、同社のコスタリカ紹介ページ本文は「SHB は1,350m超」と書いており、資料により1,200mとも1,350mとも記される | cdn.cafeimports.com | L3 |
| 緑豆卸 DRWakefield の等級解説は「グアテマラの SHB は標高1350m超」と書き、Cafe Imports の等級表(1600m超)と食い違う | drwakefield.com | L3 |
| グアテマラを SHB・FHB・HB・SH・EPW・PW・EGW・GW の7段(SHB 1600〜1700m)に分ける整理が複数の商社・ロースターのブログで一致するが、一次典拠(Anacafé自身の公表)は確認できていない(未確認) | irimameya.co.jp | L4 |
| グアテマラの区分を「SHB 1400m超、Prime Washed 900m未満まで5段階」とする整理もあり、他の資料とも一致しない(未確認) | jollymaccoffee.com | L4 |
| インドネシアのアラビカ8系統を標高1250mと700mの2圃場で比較した査読誌研究は、焙煎前のバルク密度の平均が1250m区で0.72 g/mL、700m区で0.65 g/mLとなり、標高の効果が統計的に有意だったと報告する | library.sweetmarias.com | L2 |
| インドネシア・ガヨ高地のアラビカを標高1100〜1200m/1300〜1400m/1600〜1700mの3帯で比較した2025年の学会論文は、標高とバルク密度に強い正の相関(r=0.88)があったと報告する | iopscience.iop.org | L2 |
| グアテマラ・アンティグアの Cafe Imports 表・DRWakefield の記述はいずれも中米の等級制度についてのもので、公式機関(Anacafé等)のページには今回到達できていない(未確認) | cafeimports.com | L4 |
百科
標高で決まる区分
SHB(Strictly Hard Bean)は、中米で使われる生豆の等級のひとつで、欠点数やカップ品質ではなく栽培標高を基準に区分します。同じ名前の等級でも国によって閾値が異なり、グアテマラでは最上位の区分として使われる一方、コスタリカでは資料によって「SHB」「SHG」の両方の表記で呼ばれます。
グアテマラの7段階
グアテマラの等級は、SHB を最上位に、FHB(Fancy Hard Bean)・HB(Hard Bean)・SH(Semi Hard)・EPW(Extra Prime Washed)・PW(Prime Washed)・EGW(Extra Good Washed)・GW(Good Washed)と続く7〜8段の体系として、複数の商社・ロースターの資料で紹介されています。商社の等級表ではSHB が標高1600〜1700m、FHB が1500〜1600m、HB が1350〜1500mとされていますが、別のブログ整理ではSHB の下限を1400mとするなど、資料によって区切りが異なります。グアテマラの生産者団体(Anacafé)が自ら公表しているこの区分の一次資料には、今回到達できませんでした。
コスタリカの区分
コスタリカでは最上位区分が「SHB」と「SHG」の両方で表記されます。ある商社の等級表は1200m以上をまとめて「SHG/SHB」とする一方、同じ商社の別ページの本文では「SHB は1,350m超」と、閾値も数百メートル分ずれています。同じ会社の資料の中でさえ表記と数値がそろっていないことは、この等級名が業界内で厳密に統一された制度ではなく、慣用的に使われていることを示していると考えられます。
標高と豆の密度
標高が高いほど気温が低くなり、コーヒーチェリーの成熟が遅くなることで、豆の密度が上がるとされています。この機序を裏付ける実測データとしては、インドネシアのアラビカを標高の異なる圃場で比較した査読誌の研究があり、標高1250m区のバルク密度が700m区より高く、統計的にも有意な差だったと報告されています。別のインドネシア・ガヨ高地の研究でも、標高とバルク密度のあいだに強い相関が示されています。ただし、これらはいずれも中米ではなくインドネシアを対象にした研究で、グアテマラやコスタリカなど中米6か国を対象にした標高と密度の実測データそのものは、今回見つかりませんでした。したがって、SHB が「標高が高いほど密度が上がる」という一般的な機序の応用だという説明はできても、中米での直接の裏付けまでは確認できていません。
閾値が資料で食い違うこと
中米各国の公式な等級制度を管轄する機関(グアテマラの Anacafé など)の公式サイトには、今回いずれも到達できませんでした(ページが見つからない、証明書の期限切れなど)。そのため今回集めた標高の数値は、生産国の公式資料ではなく商社の技術解説の水準にとどまっています。グアテマラの SHB の下限だけでも、1350m・1400m・1600mという3通りの数値が資料間で並立しており、どれが実務上の標準かは今回の調査では確定できませんでした。数値を読むときは、ひとつの資料だけを鵜呑みにせず、複数の資料で食い違いがあり得ることを前提にする必要があります。
買い方の手引き
商品名での書かれ方
観測した範囲では、SHB は素の「SHB」表記だけで、ドット区切り(S.H.B)やスペルアウト(Strictly Hard Bean)は商品名に出てきません。産地名と組み合わせて「グアテマラ SHB」「コスタリカ〜SHB」のように書かれます。
産地名と必ず一緒に読む
SHB は国ごとに閾値が違う(facts の通り、グアテマラだけで1350m・1400m・1600mの3通りの資料がある)ため、産地名を伴わない「SHB」だけでは標高の目安が読み取れません。またパナマ・ボリビア・ペルーなど、中米の等級制度の対象外の産地でも同じ「SHB」表記が使われることがあり、これはグアテマラの慣用表記を借用しているだけの可能性があります。
欠点数やカップ品質ではない
SHB は標高(密度)に基づく分級で、欠点数に基づく等級やカッピングスコアとは別の物差しです。商品名に「SHB Qグレード」のように併記される場合、SHB は標高分級、Qグレードはカップ品質のスコアという別々の情報を示しています。
ボードでの扱い
生豆価格ボードは産地×規格(SHB・SHGなど)で店をまたいで名寄せするため、同じ「SHB」でも国が違えば別の行になります。規格の無い単一農園ロットは比較の対象外です。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
ほか166銘柄。