「実は茶葉の方がコーヒー豆よりカフェインが多い」——お茶好きの間でよく語られる話ですが、これは半分だけ本当です。重量あたりと一杯あたりを区別すると、すっきり整理できます。

重量あたりなら茶葉の勝ち

乾燥重量で比べると、茶葉のカフェイン含有率は約2〜4%、焙煎したコーヒー豆は約1〜2%。たしかに素材としては茶葉の方がカフェインを多く含みます。

一杯あたりならコーヒーの圧勝

ただし、実際に使う量がまったく違います。

一杯に使う量 出来上がりのカフェイン量(目安)
ドリップコーヒー 豆 10〜15g 約60〜100mg
紅茶 茶葉 2〜3g 約30〜50mg
煎茶 茶葉 2〜3g 約20〜30mg
玉露 茶葉 10g(少量の湯) 約120〜160mg

コーヒーは一杯に茶の3〜5倍の重量の豆を使うため、カップの中のカフェインはコーヒーの方が多くなるのが通常です。

例外は玉露

表の中で異彩を放つのが玉露です。玉露は被覆栽培(日光を遮って育てる)によりカフェインが多い若い芽を使い、さらに茶葉の量に対して少ない湯で淹れるため、濃度で言えばコーヒーを上回ります。「お茶だから優しい」と量を飲むと、コーヒー以上のカフェインを摂ることになります。

テアニンという緩衝材(ただし証拠は部分的)

同じカフェイン量でも、お茶の方が「穏やかに効く」と感じる人は少なくありません。その候補としてよく挙がるのが、茶に含まれるアミノ酸テアニンです。二重盲検試験では、テアニンがカフェインによる血圧上昇を打ち消したという報告があります(Rogers ら 2008)。ただし同じ試験で、覚醒感やそわそわ感といった主観的な刺激には有意な影響がなく、後続の研究でも結果は一致していません(Dodd ら 2015)。「体感の違いをテアニンだけで説明できる」とまでは、現時点の証拠では言えない——というのが正確なところです。

まとめ

  • 素材の含有率では茶葉 > コーヒー豆
  • 一杯あたりではコーヒー > 紅茶・煎茶
  • 玉露だけは例外で、濃度ならコーヒー超え
  • 体感の違いにテアニンが関わる可能性はあるが、証拠は血圧面が中心で研究間の一致は不十分

「どっちが多い?」と聞かれたら、「豆と葉なら葉、カップの中ならコーヒー、ただし玉露は別格」と答えるのが正確です。

参考文献・データについて

濃度の公的な基準値(100mLあたり)は次のとおりで、本文の「一杯あたり目安」はこれに一杯の量・使用量の幅を掛けた推定レンジです(豆10〜15g/杯などの使用量は一般的な淹れ方の慣行値)。

各リンクの参照日: 2026-08-30。