ORIGIN — COUNTRY / TEA
静岡
静岡県 / SHIZUOKA
荒茶生産量で長く全国1位を保ってきた国内最有力の茶産地。牧之原・川根・本山・志太など複数の産地区分を抱え、深蒸し茶からかぶせ茶・玉露まで製法の幅が広い。商品名は品種と下位地名、蒸し度で読み分ける。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| 静岡県茶業会議所は県内の主要な茶産地として8区分を紹介する。西遠(太田川上流・天竜川流域)、中遠(小笠山・牧之原周辺で深蒸し茶)、牧之原(大井川西岸。明治以降に開かれ、県内で栽培面積が最も広い産地)、川根(大井川上流の山間)、志太(藤枝・島田・岡部の山間。朝比奈川上流に玉露)、本山(安倍川流域)、清水(旧清水市。日本平・興津川沿い)、富士・沼津(富士山南西斜面) | shizuoka-cha.com | L1 |
| 静岡県は県内の茶産地を「20を超える」と記し、牧之原・磐田原の台地と、安倍川・大井川・天竜川流域の山間地に分布するとしている | pref.shizuoka.jp | L1 |
| 牧之原台地は大井川と菊川の間、島田市・牧之原市・菊川市にまたがる。北端の標高は約270m、南端は40〜50mで、全長約25kmにわたり北から南へ緩く傾斜する | ja.wikipedia.org | L3 |
| 牧之原台地は礫混じりの赤土で排水がよく弱酸性の土壌。1996年に80km余りの幹支線水路が完成し灌漑が整った | ja.wikipedia.org | L3 |
| 静岡県内の茶栽培の発祥地は足久保(現・静岡市葵区)とされる | ja.wikipedia.org | L3 |
| 深蒸し茶は牧之原周辺で生まれた製法とされる | ja.wikipedia.org | L3 |
| やぶきたの原木は旧有度村(現・静岡市駿河区)にあり、1963年4月30日に静岡県の天然記念物に指定された | ja.wikipedia.org | L3 |
| 静岡県の茶栽培面積は11,600ha(2025年7月15日時点)で、全国の34.7%、全国1位 | pref.shizuoka.jp | L1 |
| 令和6年産の全国主産県計は摘採実面積26,700ha(前年比−500ha)、生葉収穫量319,300t、荒茶生産量66,900t(前年比−1,100t)。原典の農林水産省統計は本調査では確認できておらず、転載記事に依っている(原典未確認) | jeinou.com | L3 |
| 2020年の静岡県の荒茶生産量は25,200t(全国の36%、全国1位)、生葉収穫量は112,600t(34.2%、全国2位)だった | ja.wikipedia.org | L3 |
| 令和6年産(2024年)は鹿児島県が統計開始以来初めて荒茶生産量1位(25,800t)となり、静岡県は2位(同じく25,800t、四捨五入で同値)、三重県が3位(5,020t)と報じられた。農林水産省の原典ページは本調査で確認できていない(原典未確認) | customs.go.jp | L3 |
| 荒茶の産出額(金額)では2019年に49年ぶりに全国1位を失ったとされる。静岡県は2024年の荒茶産出額を99億円、全国の31.5%、全国1位と記載している | ja.wikipedia.org | L3 |
| 静岡県は荒茶を「生葉を蒸し・揉み・乾燥の工程まで加工したもの」と定義している | pref.shizuoka.jp | L1 |
| 荒茶は「本茶」と「出物」(茎・粉・硬い葉)からなり、茶問屋が選別と合組(ブレンド)を行って仕上げ茶にする | ujicha.or.jp | L1 |
| 「静岡茶」の表示は静岡県内産の茶葉100%を指し、「静岡茶ブレンド」は最終加工地が静岡県内で、県内産の配合比率が50%以上100%未満のものを指すとされる。基準の原文は本調査では未読で、要約に依っている(原典未確認) | ja.wikipedia.org | L3 |
| 玉露は日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」で、一番茶の新芽が伸び出した頃からよしず棚等の被覆資材で20日程度ほぼ完全に遮光した茶園(覆下園)の葉を、煎茶と同様に製造したものと定義される | ja.wikipedia.org | L3 |
| かぶせ茶は摘採前7日程度、藁や寒冷紗で茶園を覆って作る茶で、玉露より遮光期間が短い | ja.wikipedia.org | L3 |
| 茶畑を覆って直射日光を遮る覆下栽培は室町時代後期からの製法とされる | ujicha.or.jp | L1 |
| 静岡県内の玉露産地は志太(岡部・朝比奈川上流)。玉露の生産量が全国で最も多いのは福岡県八女で、ほかに京都・宇治がある | shizuoka-cha.com | L1 |
| やぶきたは杉山彦三郎が1908年(明治41年)に選抜し、1953年に茶農林6号として品種登録、1955年に静岡県奨励品種になった | ja.wikipedia.org | L3 |
| やぶきたは全国の茶園面積の約75%を占め、「やぶきたブレンド」が緑茶市場の8割超を占めるとされる | ja.wikipedia.org | L3 |
| 牧之原台地は1869年(明治2年)に旧幕臣が開墾を始めた土地で、明治2〜3年にかけて300人を超える士族と、大井川の川渡しの職を失った約100人の川越人足が入植した | ja.wikipedia.org | L3 |
| 牧之原の開墾地は士族に1,470町(約1,455ha)、川越人足に204町(約202ha)が配分された | ja.wikipedia.org | L3 |
| 2024年の全国の緑茶輸出額は364億円(前年比+24.6%)、輸出量は8,798t(+16.1%)。粉末状(抹茶等)が272億円・5,092t、その他(煎茶等)が92億円・3,706t。輸出先は米国161億円(44%)、ドイツ34億円(+80.9%) | chunichi.co.jp | L3 |
百科
位置と地形
静岡県は本州中部、太平洋に面した県で、茶園は富士山南麓から浜名湖の東岸まで東西に長く分布する。中心となるのは大井川・安倍川・天竜川など複数の河川が刻む台地と山間部で、平坦な台地では大きな茶園が広がり、山間部では傾斜地に小さな茶畑が点在する。県は県内の産地を「20を超える」と数え、牧之原・磐田原の台地と、安倍川・大井川・天竜川流域の山間地に大別している。
産地の中の区分
静岡県茶業会議所は主要な茶産地として8つの区分を挙げている。西遠(太田川上流・天竜川流域)、中遠(小笠山・牧之原周辺で深蒸し茶)、牧之原(大井川西岸。明治以降に開かれ、県内で栽培面積が最も広い産地)、川根(大井川上流の山間)、志太(藤枝・島田・岡部の山間で朝比奈川上流に玉露産地)、本山(安倍川流域)、清水(旧清水市。日本平・興津川沿い)、富士・沼津(富士山南西斜面)である。牧之原台地は大井川と菊川の間、島田市・牧之原市・菊川市にまたがり、北端の標高は約270m、南端は40〜50mで、全長約25kmを北から南へ緩く傾斜する。土壌は礫混じりの赤土で排水がよく弱酸性、1996年には80km余りの幹支線水路が完成して灌漑が整った。
歴史
静岡県内の茶栽培の発祥地は足久保(現・静岡市葵区)とされる。牧之原台地が主要産地になったのは明治以降で、1869年(明治2年)に旧幕臣が開墾に着手し、明治2〜3年にかけて300人を超える士族と、大井川の川渡しの職を失った約100人の川越人足が入植した。開墾地は士族に1,470町(約1,455ha)、川越人足に204町(約202ha)が配分された。深蒸し茶はこの牧之原周辺で生まれた製法とされる。第二次大戦中には牧之原に大井海軍航空隊の飛行場が造られ、戦後は工場用地に転じた時期もある。
生産の仕組みと統計
静岡県の茶栽培面積は11,600ha(2025年7月15日時点)で全国の34.7%、全国1位。2020年の荒茶生産量は25,200t(全国の36%、全国1位)、生葉収穫量は112,600t(34.2%、全国2位)だった。荒茶の産出額(金額)では2019年に49年ぶりに全国1位を失ったとされるが、静岡県は2024年の荒茶産出額を99億円、全国の31.5%、全国1位と記載しており、その後1位に復したことがうかがえる。一方、令和6年産(2024年)の荒茶生産量では鹿児島県が統計開始以来初めて1位(25,800t)となり、静岡県は2位(同じく25,800t、四捨五入で同値)、三重県が3位(5,020t)と報じられた。この令和6年産の数値は農林水産省の統計が原典だが、本調査では原典ページを確認できておらず、報道の転載に依っている(原典未確認)。荒茶は生葉を蒸し・揉み・乾燥の工程まで加工したものを指し、「本茶」と「出物」(茎・粉・硬い葉)に分かれる。茶問屋がこれを選別・合組(ブレンド)して仕上げ茶にする流れは、静岡に限らず日本茶全般の仕組みである。
製法と茶種
静岡は蒸し製の煎茶が中心で、なかでも蒸し時間を長くする深蒸し茶が広く作られる。深蒸し茶は茶葉が細かく砕けるため、湯に溶け出す成分が多く水色が濃くなる。摘採前に茶園を覆う被覆栽培も一部で行われ、覆う期間が短いかぶせ茶、20日程度覆う玉露、覆った葉を揉まずに乾燥させる碾茶(抹茶の原料)まで、覆いの深さと製法の組み合わせで茶種が分かれる。県内の玉露産地は志太(岡部・朝比奈川上流)で、玉露の生産量が全国で最も多いのは福岡県八女、次いで京都・宇治、静岡と続くとされる。かぶせ茶は玉露より遮光期間が短く、摘採前7日程度の被覆で作られる。覆下栽培そのものは室町時代後期からの製法とされる。
品種
静岡の茶園はやぶきたが中心で、全国の茶園面積の約75%を占める品種でもある。やぶきたは杉山彦三郎が1908年(明治41年)に静岡市内で選抜した系統で、1953年に茶農林6号として品種登録され、1955年に静岡県の奨励品種になった。原木は旧有度村(現・静岡市駿河区)にあり、1963年に静岡県の天然記念物に指定されている。このほか、さえみどり・おくみどり・つゆひかり・べにふうきなど育成品種が県内の一部の茶園や商品名に現れ、在来種(実生)を残す茶園もある。
規格・表示
「静岡茶」の表示は静岡県内産の茶葉100%を指し、「静岡茶ブレンド」は最終加工地が静岡県内で、県内産の配合比率が50%以上100%未満のものを指すとされる。基準の原文(静岡県茶業会議所・日本茶業中央会)は本調査では未読で、要約に依っている(原典未確認)。玉露・かぶせ茶の定義は日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」によるもので、玉露は一番茶の新芽が伸び出した頃から20日程度ほぼ完全に遮光した覆下園の葉を煎茶と同様に製造したもの、かぶせ茶は摘採前7日程度の被覆で作るものとされる。
典型として語られる香味
静岡の茶は産地区分ごとに傾向が語られる。牧之原・掛川など深蒸し系の産地は水色が濃く、とろみと甘みで語られることが多い。川根・本山など山間の産地は香りの高さで語られる。これらは産地の一般的な傾向として語られる表現であり、個々の銘柄の評価ではない。
国内での流通
静岡は観測所の茶の産地のなかで商品数の多い産地のひとつで、専門店の商品名には品種名と下位地名、蒸し度(深蒸し・浅蒸し)が並ぶ一方、贈答向けの商品では産地の下位地名が省かれ「静岡茶」「静岡銘茶」とだけ書かれることが多い(下の「観測」の節に件数が自動で出る)。
買い方の手引き
商品名の読み方
静岡の専門店の商品名は、品種名と下位地名、茶種・蒸し度を組み合わせて書かれることが多く、「やぶきた 本山」「かぶせ おくみどり」のように品種が先に来る型と、「静岡本山 普通煎茶」のように地名と茶種を並べる型があります。一方、贈答用の商品は「静岡銘茶詰合せ」のように産地名と「銘茶」だけを書き、品種や下位地名を省くことが多く、この場合は産地区分までは分かりません。県内で栽培面積の広い牧之原や、川根の名前は、こうした贈答型の商品名にはほとんど出てきません。
収穫期と入荷
一番茶(新茶)は4月から5月にかけて摘まれ、八十八夜(立春から88日目、5月2日頃)前後が新茶の目安とされます。二番茶は6月から7月に摘まれ、和紅茶(国産紅茶)に加工される場合は「セカンドフラッシュ」と紅茶の呼び方で書かれることもあります。秋に摘む「秋茶」も一部の商品名に見られます。年号が入った商品は多くがその年の新茶または和紅茶で、通年販売の煎茶ギフトには年号が付かないことが一般的です。
内容量と表示の注意
専門店では80g・100g・120g前後の少量パックが中心で、贈答用は100g×複数袋の詰合せが多く見られます。ティーバッグは「◯g×◯袋×◯箱」のように内容量が段階的に書かれ、総量の計算に注意が必要です。「静岡茶」は県内産100%、「静岡茶ブレンド」は県内産の配合比率が50%以上100%未満のものとされているので、産地の証明として重視する場合はこの違いを確認してください。
導線
下の「観測」の節には、静岡の茶を扱う店と商品数、100g換算の価格帯が自動で出ます。品種名(やぶきた・さえみどり等)を手がかりに銘柄を探す場合は品種図鑑・銘柄検索もあわせて利用できます。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
観測した商品
ほか121銘柄。
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日本の茶産地マップ — 静岡・鹿児島・宇治・八女・狭山・嬉野の個性を「蒸し・覆い・炒り」で読む →日本茶の産地の違いは、品種より製法の傾向(深蒸しか普通蒸しか、覆いをするか、釜で炒るか)に表れます。主要産地の特徴と代表銘柄、国内の茶葉 EC でどの産地がどれだけ買えるかを観測データで整理します。