六大茶類の中で、白茶は最も工程が少ないお茶です。摘んだ葉を萎らせて(萎凋)、乾かす。揉まない、炒らない、蒸さない。緑茶のように酸化を止める加熱も、紅茶のように酸化を進める揉捻もありません。この「何もしない」製法が、白茶の淡い甘さと産毛の香りを作ります。
製法 — 引き算のお茶
| 工程 | 緑茶 | 紅茶 | 白茶 |
|---|---|---|---|
| 萎凋(葉を萎らせる) | しない/短い | する | 長くする(1〜3 日) |
| 殺青(加熱して酸化を止める) | する | しない | しない |
| 揉捻(揉む) | する | 強くする | しない |
| 酸化 | 止める | 進める | 萎凋中にゆっくり自然に進む(軽微) |
| 乾燥 | する | する | する(天日または低温) |
酸化を止めないので緑茶ではなく、揉んで酸化を進めないので紅茶でもない。萎凋のあいだに葉の中でゆっくり起きる変化が、白茶の淡い蜜のような甘さと干し草・花の香りの正体です。工程が少ないぶん、原料の芽と葉の質がそのまま出ます。
3 つの等級 — 芽の割合で分かれる
| 名前 | 原料 | 見た目 | 味 |
|---|---|---|---|
| 白毫銀針(はくごうぎんしん) | 芽だけ | 銀色の産毛に覆われた針状 | 最も淡く、蜜とメロンのような甘さ。水色はほぼ無色 |
| 白牡丹(はくぼたん) | 芽と若い葉 1〜2 枚 | 芽と葉が混ざる | 花の香りと甘み、軽い渋み。白茶の入門 |
| 寿眉(じゅび)・貢眉 | 葉が主体 | 大きめの葉 | 干し草・果実の香り。濃く出て手頃 |
産地は中国・福建省(福鼎・政和)が本場で、雲南省の大葉種で作る「月光白」のような白茶もあります。等級は「芽が多いほど上」ですが、寿眉は寿眉で濃い甘さがあり、後述の熟成に向くのはむしろこちらです。
淹れ方 — ぬるめ・長め・多め
白茶は成分が出にくいので、緑茶のように短時間で引き上げると薄く感じます。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 茶葉 | 4〜5g(湯 150ml あたり。芽茶はかさが大きいので多めに見える) |
| 湯温 | 80〜85℃。白毫銀針は 75〜80℃ でも |
| 時間 | 3〜5 分(1 煎目)。中国式の小さな茶器なら 30 秒〜1 分で何煎も |
| 煎数 | 4〜6 煎。回を重ねるごとに甘みが出る |
| 水出し | 向く。茶葉 1% で冷蔵 3〜4 時間(水出しの仕組みは緑茶と同じ) |
渋みの成分が少ないので、時間を長くしても失敗しにくい。「薄い」と感じたら茶葉を増やすより時間を延ばしてください。
年を経た白茶
白茶は製法上、酸化を止めていないため、保存中にもゆっくり変化が続きます。中国には「一年は茶、三年は薬、七年は宝」という言い回しがあり、数年寝かせた白茶(老白茶)は干し草の香りが蜜や棗のような濃い甘さに変わります。寿眉を固めた餅茶(円盤状)が熟成用の定番です。家庭で寝かせる場合は、密閉して湿気と匂いを避け、涼しい場所に置きます。緑茶のように「新しいほど良い」とは限らない、六大茶類の中でも珍しい性格です。
国内でどれだけ買えるか — 観測データから
コピチャ観測所が観測する国内の茶葉 EC と楽天市場の出品(2026-09-04 時点)で、茶種が白茶と読めた銘柄は 3 件・2 店だけでした。紅茶や緑茶に比べて、日本の茶葉 EC では極端に少ない。中国茶専門店や台湾茶専門店の店頭、輸入食材店で探すか、烏龍茶を扱う専門店に白茶の取り扱いを聞くのが現実的です。今後観測ソースに中国茶専門店が加われば、紅茶価格ボードと同じ型で白茶の相場も並べられます。
白茶と間違えやすいもの
- ホワイトティー(フレーバーティー): 白茶を土台にした香り付けの茶。白茶そのものではない
- 銀針系の緑茶: 産毛の多い芽の緑茶(例: 中国の一部の芽茶)は見た目が似るが、殺青している
- 白毫烏龍(東方美人): 「白毫」の字が付くが烏龍茶。烏龍茶入門参照
まとめ
- 白茶は萎凋と乾燥だけ。揉まず炒らず、酸化を止めない
- 白毫銀針(芽)・白牡丹(芽と葉)・寿眉(葉)。芽が多いほど淡く上品
- ぬるめ・長め・多めで淹れる。渋みが少なく失敗しにくい
- 年を経ると甘さが変わる。国内の茶葉 EC では稀少
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