ORIGIN — COUNTRY / COFFEE
タンザニア
TANZANIA
北部のキリマンジャロ山麓、南部のムベヤ・ムビンガ高地、西部のカゲラ・キゴマ湖岸に分かれる産地で、輸出用コーヒーは原則モシのオークションを通す。日本の商品名では「キリマンジャロ」が国全体の通称としても使われ、AA等級表記が中心。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| 産地はキリマンジャロ(モシ)・アルーシャ・カラツ/ンゴロンゴロ・タリメ・キゴマ・カゲラ・ルブマ・ムベヤ/ムボジ等に分布し、西部のカゲラ・キゴマ(ロブスタ主体)とそれ以外の地域に大別される。アルーシャの地帯区分は資料により「北部」または「Southern Highlands(南部高地)」と異なる。 | perfectdailygrind.com | L3 |
| ロブスタ種はビクトリア湖岸のカゲラ州(キエルワ・カラグウェ)で栽培され、近年はキゴマでも栽培が拡大しているとされる。キゴマは、資料によりアラビカの主要産地の一つとされることもあり、位置づけは資料により異なる。 | en.wikipedia.org | L3 |
| 現在は南部(ルブマ・ムベヤ/ムボジ)が生産の75〜85%を占めるとされる | sucafina.com | L3 |
| 収穫期は北部・南部で7〜12月、西部で5〜10月とされる。資料により幅があり、他資料と一致しない部分もある。 | perfectdailygrind.com | L3 |
| 収穫期は南部高地で5〜9月、北部(モシ・キリマンジャロ・アルーシャ)で6〜8月、ンゴロンゴロ周辺は11月末までとされる。 | royalcoffee.com | L3 |
| 米国向けの新豆到着は11月から12月に始まり1月から3月にピークを迎える | royalcoffee.com | L3 |
| 栽培面積はMY2026/27予測で275,000ha(前年比約+2%)、収穫面積は270,000ha | dailycoffeenews.com | L3 |
| 生産量はUSDAの2026年版予測でMY2026/27に160万袋(前年比+10.3%)、うちアラビカ85万袋・ロブスタ75万袋 | dailycoffeenews.com | L3 |
| 輸出はMY2026/27予測で合計141万袋(前年比+2.9%)、うち生豆が140万袋 | dailycoffeenews.com | L3 |
| 2025年(暦年)の輸出先はEU向け596,487袋、日本向け193,718袋、米国向け128,032袋 | dailycoffeenews.com | L3 |
| 2024年の生豆輸出額は仕向け先の中で日本向けが最も多く、5,840万ドルだった | royalcoffee.com | L3 |
| 国内消費はMY2026/27予測で9万袋(前年8.5万袋)、期末在庫は15.7万袋(前年の3倍) | dailycoffeenews.com | L3 |
| 小農約32万人が生産の約9割を担い、残りは約100の大規模農園が担う | apps.fas.usda.gov | L1 |
| 生産量は世界15位で、世界生産の0.8%ほどとされる。 | royalcoffee.com | L3 |
| Coffee Industry Act(2001年第23号)第3条によりタンザニア・コーヒー・ボード(TCB)が設置された。TCBは品質規制、生産・輸出の監視、加工・流通・輸出・保管の規則制定、輸出許可、業者登録、オークションの運営を担う | faolex.fao.org | L1 |
| TCBはモシでのコーヒーオークションの日程・条件(留保価格等)を定める権限を持ち、品質・価格等の条件を満たすエステートはオークションを介さず直接輸出できる免除ライセンスを取得できる(毎週木曜10:00という具体的な開催曜日・時刻の明記は原典に無い) | trade.tanzania.go.tz | L1 |
| 小農はAMCOS(農業マーケティング協同組合)に属し、AMCOS経由でオークションに出荷する | perfectdailygrind.com | L3 |
| 1976年以前はモシ(アラビカ)とブコバ(ロブスタ)の2つの協同組合工場が流通を担っていたが、1977年にCoffee Authority of Tanzaniaが設置され協同組合連合は解散した。改革は1990年に始まり、1993年に民間の販売・加工への参入が認められ、1994/95年季には民間が購入して自社工場で加工した | en.wikipedia.org | L3 |
| 輸出港はダルエスサラームとタンガで、ダルエスサラームが貨物の9割超を扱う | sucafina.com | L3 |
| 主要品種はブルボンとケントで、他にティピカ・ニアッサも栽培されている。ブルボン系のN39は1920年代に、ケント系のKP423は1930年代に選抜された商業品種である | tacri.or.tz | L1 |
| TaCRIが開発した改良アラビカ品種(タール型15・コンパクト型4)は単収が最大3t/haで、在来品種は1.5t/haとされる | ippmedia.com | L4 |
| ケニアの品種ルイル11の交配親にはN39が含まれる(カップ品質付与のため) | varieties.worldcoffeeresearch.org | L2 |
| 等級はAAA・AA・A・B・PB・C・E・F・AF・TT・UG・TEXの体系で区分され、資料によりAAAを含まない11等級とされることもある。 | perfectdailygrind.com | L3 |
| ピーベリーの天然発生率は世界的に約5%とされ、タンザニアは米国のスペシャルティ市場向けにピーベリーを主力商品として扱う | royalcoffee.com | L3 |
| 16世紀にはエチオピアからコーヒーが伝わり、カゲラのハヤ人がロブスタの実を嗜好品・通貨として用いていたとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| 1911年、ドイツ植民地政府がブコバ地域でアラビカの植栽を義務化した | en.wikipedia.org | L3 |
| 1925年、チャガ人が6,000t(120万ドル相当)を輸出し、キリマンジャロ・ネイティブ・プランターズ・アソシエーション(KNPA)が設立された。数値は資料により6,000t・120万ドル、または6,000ポンド・150万ドルと幅がある。 | en.wikipedia.org | L3 |
| コーヒー萎凋病は、1995年にタンザニア北部で初めて報告された。 | bspp.org.uk | L2 |
| 日本の生豆輸入量は2025年(確々報)で11,623t、輸入元として6位 | coffee.ajca.or.jp | L2 |
| 2021年の日本の生豆輸入量は13,524t・7位である。 | goodlife365.bex.jp | L3 |
| 1991年に全日本コーヒー公正取引協議会がタンザニア産コーヒー全体に「キリマンジャロ」の表示を認めたとされる。 | en.wikipedia.org | L3 |
| ノース・キリマンジャロは、タンザニアのアラビカの主要 9 産地の一つである。 | en.wikipedia.org | L3 |
| 「キリマンジャロ」は、日本のコーヒーの表示に関する公正競争規約の施行規則で、タンザニアで生産されたアラビカコーヒー豆(ブコバ地区でとれるものを除く)をいうと定められている。 | ajcft.org | L2 |
| タンザニアのアラビカの産地は、キリマンジャロ・アルーシャ・タンガ・イリンガ・ムベヤ・キゴマなど 15 の地域に及ぶ。 | apps.fas.usda.gov | L1 |
| タンザニアの 2024/25 年度の地域別オークションでは、北部(Kaskazini)区がキリマンジャロ・アルーシャ・マニャラ・モロゴロ・タンガの 5 地域をまとめ、7 月 1 日に開始される。 | apps.fas.usda.gov | L1 |
| タンザニアのコーヒー規則は、水洗アラビカの精選後の等級を AA・A・B・C・PB・AF・TT・E・F の 9 つに分け、主にスクリーンサイズで定義する。 | faolex.fao.org | L1 |
| タンザニアの規則の A は、スクリーン 15/16 に留まる豆が最低 90%、スクリーン 14 の豆が最大 2% と定められる。 | faolex.fao.org | L1 |
| タンザニアの規則は、水洗コーヒーのパーチメントを Premium・Parchment I・II・III と、国内で脱穀した Estate Clean の 5 つの等級に分ける。 | faolex.fao.org | L1 |
| タンザニアの規則が認めるコーヒーの種類は、水洗アラビカ・水洗ロブスタ・非水洗アラビカ・非水洗ロブスタの 4 つである。 | faolex.fao.org | L1 |
百科
産地の位置づけ
タンザニアは東アフリカの内陸国で、北はキリマンジャロ山麓、南はマラウイ湖に近い高地、西はビクトリア湖・タンガニーカ湖に近い湖岸地帯と、国土の広い範囲でコーヒーが栽培されています。生産量は世界15位程度、世界生産の0.8%ほどにとどまりますが、日本の生豆輸入では上位6か国に入る国の一つで、2024年の生豆輸出額では仕向け先の中で日本向けが最も多く5,840万ドルでした。小農約32万人が生産の約9割を担い、残りを約100の大規模農園が担う構造です。
産地と標高: 北部・南部・西部の3地帯
産地は大きく3つの地帯に分かれます。北部高地はアルーシャ(資料により南部高地とするものもあります)、キリマンジャロ(モシ)、メルー山周辺、カラツ/ンゴロンゴロ、タリメを含み、キリマンジャロ山とメルー山の裾野に畑が広がります。南部高地はムベヤ、ムボジ、ソングウェ、そしてルブマ(ムビンガ)を含み、現在は生産量の75〜85%をこの南部が占めるとされます。西部湖岸はビクトリア湖に近いカゲラ(キエルワ・カラグウェ)とキゴマで、ロブスタ種はカゲラで栽培され、近年はキゴマでも拡大しているとされます。キゴマをアラビカの主要産地の一つとする資料もあり、位置づけは資料により異なります。日本の商品名では「キリマンジャロ」「ンゴロンゴロ」「ムベヤ(ンベヤ)」といった地名が見られますが、後述のとおり「キリマンジャロ」は産地区分を超えて国全体の通称としても使われます。
生産の仕組み: AMCOSとモシ・オークション
小農はAMCOS(農業マーケティング協同組合)と呼ばれる組合に加入し、収穫したチェリーをAMCOS経由でオークションに出荷します。輸出可能なコーヒーは原則として、モシで開かれるタンザニア・コーヒー・ボード(TCB)のオークションを通さなければならず、事前に供給者・等級・倉庫・数量を記したカタログが配布されます。輸出許可を得たエステートは、オークションを介さずに直接輸出することもできます。TCBは2001年のCoffee Industry Act(2001年第23号)によって設置された組織で、1984年のTanzania Coffee Board Actを廃止して品質規制・輸出許可・業者登録・オークション運営などの権限を引き継ぎました。歴史的には1976年以前、モシ(アラビカ)とブコバ(ロブスタ)の2つの協同組合工場が流通を担っていましたが、1977年にCoffee Authority of Tanzaniaが設置されて協同組合連合はいったん解散し、1990年に改革が始まり、1993年に民間の販売・加工への参入が認められ、1994/95年季には民間が購入して自社工場で加工しました。輸出港はダルエスサラームとタンガで、ダルエスサラームが貨物の9割以上を扱います。
規格
等級はAAA・AA・A・B・PB・C・E・F・AF・TT・UG・TEXの体系で区分されます(資料によりAAAを含まない11等級とされることもあります)。日本の商品名ではAAが圧倒的に多く、AB・PBがこれに続きます。ピーベリー(PB)の天然発生率は世界的に約5%とされ、タンザニアは米国のスペシャルティ市場向けにピーベリーを主力商品として扱う数少ない産地の一つです。「SC15UP」のようにスクリーンサイズをそのまま書く表記もまれに見られます。
精製
アラビカのほとんどが水洗式(ウォッシュ)で精製されます。国内でウォッシュが標準的であるため、日本の商品名でも精製方法自体が省かれることが多く、これはウォッシュト以外の精製がまだ少数派であることの裏返しでもあります。
品種: N39とKP423、TaCRIの育種
主要品種はブルボン、ケント、ティピカ、ニアッサで、ブルボン系統のN39は1920年代に、ケント系統のKP423は1930年代に選抜されました。ケニアの品種ルイル11やバティアンの交配親にもN39が含まれており、東アフリカの品種の系譜がつながっています。タンザニア・コーヒー研究所(TaCRI)は、コンパクトなハイブリッド品種TaCRI 1F・3F・4F・6Fや、高木型のN39・KP423の改良系統を開発しており、コーヒーさび病やコーヒーベリー病への抵抗性を持ち、単収は最大3t/ha(在来品種は1.5t/ha)とされます。
典型として語られる香味
タンザニア産、特にキリマンジャロ山麓のロットの香味として一般に語られるのは、ワインのような明るい酸味と、しっかりしたボディ、ブラックカラントを思わせる果実味です。これらは産地の傾向として広く共有されている表現であり、個々のロットの評価ではありません。実際の味は地帯・農園・精製・収穫時期で変わります。
歴史
16世紀にはエチオピアからコーヒーが伝わり、カゲラ地方のハヤ人がロブスタの実を嗜好品や通貨として用いていたと伝えられます。1911年にはドイツ植民地政府がブコバ地域でアラビカの植栽を義務化し、1925年にはチャガ人が6,000t(120万ドル相当)を輸出したとされ(数値は資料により6,000t・120万ドル、または6,000ポンド・150万ドルと幅があります)、後のKNCU(キリマンジャロ・ネイティブ・コーポラティブ・ユニオン)につながるキリマンジャロ・ネイティブ・プランターズ・アソシエーション(KNPA)が設立されました。1977年のCoffee Authority of Tanzania設置と協同組合連合の解散、1990年代前半の改革、1994年の民間取引解禁を経て、1995年にはタンザニア北部でコーヒー萎凋病が初めて報告されました。2001年のCoffee Industry Actでタンザニア・コーヒー・ボード(TCB)が現在の形に整えられ、モシのオークションを軸とする流通制度が続いています。
「キリマンジャロ」という呼び名
日本では「キリマンジャロ」がタンザニア産コーヒー全体を指す通称として広く使われており、1991年に全日本コーヒー公正取引協議会が表示を認めたとされます。現行の規約の施行規則(2024年10月1日版)は「キリマンジャロ」を、タンザニアで生産されたアラビカコーヒー豆(ブコバ地区でとれるものを除く)と定めています。このため、北部キリマンジャロ山麓産でなくても「タンザニアAA(キリマンジャロ)」のように国名と併記される商品名が見られます。厳密な産地としての「キリマンジャロ」(モシ周辺の山麓)と、国全体の通称としての「キリマンジャロ」は区別して読む必要があります。
買い方の手引き
商品名の読み方
日本の店では「タンザニア」の後に、等級(AAなど)→「キリマンジャロ」→ 地区名(ンゴロンゴロ、カラツなど)や組合・農園名 → 精製 の順で書かれることが多くなっています。「キリマンジャロ」は北部の山名ですが、日本の商品名では産地区分というより国全体を指す通称として使われることが多く、南部産のロットにも「タンザニアAA(キリマンジャロ)」のように併記される場合があります。「スノートップ」「ディープブルー」のような名前は産地でなく、輸出業者や店が付けた銘柄名です。
等級の見方
等級はAAA・AA・A・B・PB・C・E・F・AF・TT・UGなどに区分され、日本の商品名ではAAが圧倒的に多く見られます。「SC15UP」のようにスクリーン(生豆のふるい分けサイズ)そのものを書く表記もまれにあります。
旬と入荷の時期
収穫期は北部・南部で7〜12月ごろ、西部で5〜10月ごろとされますが、資料によって幅があります。収穫されたコーヒーは原則としてモシのオークションを通ってから輸出されるため、日本への到着はさらに数か月後になります。
内容量と価格の目安
観測所の相場は下の「観測」の節に自動で出ます。生豆はAAなどの等級で店をまたいで比較でき、生豆価格ボードの産地×規格の行がその比較です。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
規格別の相場(生豆・商社規格が読める銘柄だけ)
観測した商品
ほか130銘柄。
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