TERM — PROCESS / COFFEE
ナチュラル
NATURAL / 非水洗式 / 乾燥式 / サンドライ
果肉を取り除かず、チェリーごと乾燥させてから脱穀する精製。エチオピア・イエメン・ブラジルに多く、精製法としては最も古い基本技術とされる。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| ナチュラルは、収穫したコーヒーチェリーの果肉を除去せず、チェリーごとそのまま乾燥させてから脱穀する精製方法で、パーチメント・ミューシレージ・種子が果皮に包まれたまま乾く | cafeimports.com | L3 |
| 乾燥期間は天候次第で、平均すると最大30日程度(up to 30 days on average)とされる | cafeimports.com | L3 |
| 乾燥の到達点の目安は水分11%で、微生物にとって活動しにくい水準になる | cafeimports.com | L3 |
| 発酵は収穫直後から始まり、密閉容器での管理発酵ではなく水分が約11%に下がるまで自然に続く | cafeimports.com | L3 |
| 乾燥設備はパティオ・アフリカンベッド(高床式)・乾燥テーブルで、ウォッシュトと違い機械乾燥機は使わない | cafeimports.com | L3 |
| 乾燥中は生産者が定期的にかき混ぜて返す作業が必要になり、均一な乾燥を保つとされる | sustainableharvest.com | L3 |
| 主な産地はエチオピア・イエメン・ブラジル・コスタリカに最も多いとされる | cafeimports.com | L3 |
| 精製法としては最も古い基本技術とされ、歴史的にはチェリーを木の枝に付けたまま完全に乾かす形もあった | cafeimports.com | L3 |
| サンドライはナチュラルの英語別称で、チェリーごと天日で乾かす点を強調した呼び方 | cafeimports.com | L3 |
| ドライプロセスもナチュラルの別称で、乾燥式の対として水洗式(wet process)と並べて使われる | cafeimports.com | L3 |
| イエメンはコーヒーのほぼ全量がナチュラルで、段々畑の屋根や乾燥棚でチェリーごと乾かされる。 | jayarr.coffee | L3 |
| エチオピアではシダモの生産の約4割、イルガチェフェの一部がナチュラルで、残りはウォッシュトが優勢とされる | perfectdailygrind.com | L3 |
| 乾燥中にチェリーの果肉・糖分に接し続けるため、ベリーやワインを思わせる香味になるとされる。 | cumbre.coffee | L3 |
| 反面、乾燥管理を誤ると発酵臭・欠点豆のリスクがウォッシュトより高いと技術解説で説明される | cafeimports.com | L3 |
| ナチュラルの天日乾燥は、気候条件によりチェリーで12〜21日、パーチメントで7〜15日程度かかるとされる。 | library.sweetmarias.com | L2 |
| ナチュラルの乾燥は、水分含量がおよそ12%(湿量基準)まで下がることを目安に行われるとされる。 | library.sweetmarias.com | L2 |
| ブラジルのナチュラル(乾式)乾燥は、テレイロと呼ばれる乾燥場に厚さ2〜3cmで豆を広げ、少なくとも1時間に1回は撹拌するとされる | sapc.embrapa.br | L1 |
| ブラジルではテレイロ(乾燥場)を使った天日乾燥が、コーヒーの乾燥方式として最も広く用いられているとされる | sapc.embrapa.br | L1 |
| 未処理の対照と比べると、フルクトースとグルコースは湿式で減り、乾式では変わらないか増えた。室内の模擬精製でも同じだった。 | doi.org | L2 |
| フローレス産アラビカの同じ果実を 4 法で精製し浅煎りにした豆のカフェインは、ナチュラルとアナエロビックが 1.758、ウォッシュトが 1.666〜1.672 g/100 g だった。 | doi.org | L2 |
| 同じ試験の電子舌の旨味の応答は、ナチュラルが 11.94 で最も大きく、レッドハニーが 11.62 で最も小さかった。 | doi.org | L2 |
| 有資格者 10 名のカッピングでは、アナエロビックとレッド・ブラックのハニーが、ナチュラルとウォッシュトより 8 つの採点項目すべてで高い値を得た。 | doi.org | L2 |
| 全果実を乾燥する乾式の生豆(胚乳)では、エタノール・酢酸・乳酸が標準乾燥は2番目、堆積乾燥は3番目の採取点で最大になり、その後減った。 | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
| 全果実を堆積して撹拌しない乾式では、最初の6日間は果肉から液がしみ出して湿ったままで、水分は有意に下がらなかった。 | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
| アラビカ46ロット(乾式17・半乾式4・湿式25)の生豆の揮発成分は、精製法より産地のほうが判別に効き、乾式ではリナロールと2,3-ブタンジオールが、湿式ではヘキサナールが多かった。 | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
| 乾式と湿式の生豆を分ける判別式は、2,3-ブタンジオール・ピネン・オクタノールの3成分で、試料の77.8%を正しく分類した。 | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
| 焙煎豆の揮発成分で精製法を判別する解析で、最もよかったのは浅煎りで、正しく分類できたのは79.2%、検証では68.8%だった。 | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
百科
ナチュラルとは何か
ナチュラル(乾燥式、natural)は、収穫したコーヒーチェリーの果肉を取り除かず、チェリーごとそのまま乾燥させてから脱穀する精製方法です。果肉とミューシレージを先に洗い流すウォッシュトとは逆に、「果実に包まれたまま種子を乾かす」のが本質で、水と設備をほとんど必要としません。精製方法としては最も古い基本技術とされ、歴史的には収穫したチェリーを木の枝に付けたまま完全に乾かす形もありました。
工程
- 選別: 完熟したチェリーを収穫し、未熟果や過熟果、異物を取り除きます。
- 乾燥: パティオ(コンクリートの床)、アフリカンベッド(高床式の網)、乾燥テーブルの上にチェリーを広げ、天日で乾かします。ウォッシュトと違い機械乾燥機は使いません。腐敗を防ぐため、一日を通して熊手等でかき混ぜ、返す作業が必要になります。
- 発酵: 発酵は収穫直後から始まり、密閉容器での管理発酵ではなく、水分が約12%(湿量基準)に下がるまで自然に進みます。果肉に含まれる糖分がこの間にゆっくり分解され、種子に浸透します。
- 乾燥期間: 気候条件により、チェリーの天日乾燥はおおむね12〜21日かかります(資料によっては平均で最大30日程度とする説明もあります)。水分の到達点の目安は約12%(湿量基準)で、微生物が活動しにくい水準になります(11%とする資料もあります)。
- 脱穀: 乾燥後、果皮・パーチメント・銀皮をまとめて脱穀機で取り除き、生豆にします。
ブラジルの伝統的な乾燥は、現地語で「テレイロ」と呼ばれるコンクリートのパティオ(乾燥場)で行われ、厚さ2〜3cmに広げて少なくとも1時間に1回は撹拌し、天日と地熱で乾かします。
派生と類語
- サンドライ(sun-dried): ナチュラルの英語別称。チェリーごと天日で乾かす点を強調した呼び方です。
- ドライプロセス(dry process): ナチュラルの別称で、「乾燥式」の対として「水洗式(wet process)」と並べて使われます。
- アンウォッシュト(unwashed): ウォッシュトと対比するときの呼び方で、ナチュラルとほぼ同義で使われます。
歴史と地域差
ナチュラルは水を使わないため、水資源に乏しい産地で発達してきました。イエメンはコーヒーのほぼ全量がナチュラルで、段々畑の屋根や乾燥棚でチェリーごと乾かされます。水不足という土地条件が、水を使わないナチュラルが定着した背景としてしばしば挙げられます。ブラジルは日照と乾季がはっきりしていることから広いパティオ乾燥が普及し、ナチュラルが国の代表的な精製方法になっています。エチオピアでは地域によって差があり、シダモの生産の約4割、イルガチェフェの一部がナチュラルで、残りはウォッシュトが優勢です。中米・コロンビア・ケニアのように水資源が比較的豊かでインフラの整った産地ではウォッシュトが主流になっており、精製方法の分布は味の好みより先に、水・気候・インフラの条件で決まってきたと言えます。
味について測られていること
同一収穫のロブスタ 5 法を中煎りにして電子舌で測った試験で、旨味の応答はナチュラルが 11.94 で最も大きく、レッドハニーが 11.62 で最も小さかった(センサー応答の値で、人の官能の強度ではない)。同じ試験の有資格者 10 名のカッピングでは、アナエロビックとレッド・ブラックのハニーが、ナチュラルとウォッシュトより 8 つの採点項目すべてで高い値を得た。同じ果実を 5 通りに分けてナチュラルにした SCA 形式のカッピングでは、無発酵の対照が 82.15 点、果実を CO2 で置換して 24 時間発酵した区が 86.90 点だった(対照と他の 4 区の差は有意、p<0.05)。乾燥管理を誤ると発酵臭・欠点豆のリスクがウォッシュトより高いとされる。
買い方の手引き
商品名での書かれ方
日本の店では「ナチュラル」が最も多く、次いで「Natural」(英字)です。「サンドライ」「ドライプロセス」「乾燥式」という表記はほとんど使われません。観測所はこれらを「ナチュラル」にまとめて集計しています。
書かれていないときの手がかり
精製が商品名に無い場合、ブラジル・イエメン・エチオピアのハラーの豆は、特に断りが無ければナチュラルであることがほとんどです。エチオピアのシダモとイルガチェフェは地域や農園によってウォッシュトとナチュラルが混在するため、書かれていなければ店に確認してください。ケニア・コロンビア・グアテマラなど中米の豆は、通常はウォッシュトです。
サンドライとの見分け
「サンドライ」「ドライプロセス」はナチュラルの別称で、精製そのものは同じです。観測所では同じ「ナチュラル」として扱います。「アナエロビックナチュラル」のように発酵法とセットで書かれる場合は、密閉タンクでの嫌気発酵のあとナチュラルとして乾燥させた豆で、観測所は発酵法(アナエロビック)と精製(ナチュラル)を別の欄に記録しています。
ボードへの導線
生豆は生豆価格ボードで産地×規格ごとに比較でき、焙煎豆は焙煎豆相場ボードで精製をナチュラルに絞って店ごとの価格を見られます。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
ほか490銘柄。
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