ORIGIN — REGION / COFFEE

ウイラ

HUILA / ウィラ

コロンビア南西部、マグダレナ川上流の県。県別生産量で全国首位が続き、ピンクブルボン種の産地としても語られる。県名の後に農園名(Finca)が続く商品名が中心。

事実

事実出典階層
ウイラ県はコロンビア南西部の県で、東コルディレラと中央コルディレラにまたがり、両山系の間をマグダレナ川の上流部が流れる谷に位置するperfectdailygrind.comL3
県内に活火山ネバド・デル・ウイラ(標高約5,364m)があり、国内順位は資料により異なる(一方は言及せず、他方(huilamagnifica.com)は国内第4位とする)colombiaone.comL3
ウイラ県に管轄が及ぶ国立自然公園は5つ(クエバ・デ・ロス・グアチャロス、プラセ、ネバド・デル・ウイラ、スマパス、セラニア・デ・ロス・チュルンベロス)。県内の保護地域は、この5国立公園に6地方公園・1統合管理区・28市町村公園を加えた合計で549,840ヘクタールparquesnacionales.gov.coL1
ネバド・デル・ウイラ国立公園はトリマ・ウイラ・カウカの3県にまたがり総面積163,842.33ヘクタール。火山地形でパラモ・アンデス森林・氷雪帯の植生を含むparquesnacionales.gov.coL1
コーヒー栽培の標高帯は概ね1,200〜1,800メートルとされる。perfectdailygrind.comL3
ウイラ県は県別の生産量で15年連続の首位とされる(2025年の実績、2026年8月29日付の報道)diariodelhuila.comL3
ウイラ県の生産は、2024年が248万袋(60キログラム換算)で全国生産の19.08%、2025年が2,523,904袋(60キログラム換算)で全国生産の19.65%を占める。2025年は300万袋の輸出を目標とするsemana.comL3
ウイラ県の栽培面積は、2025年が149,487ヘクタール(2025年11月時点)と149,466ヘクタールの2つの値があり、2026年上半期には150,135ヘクタールに増加したagronegocios.coL3
ウイラ県の単収は1ヘクタールあたり平均21.8袋(2025年11月時点・全国平均19.7袋)、2026年上半期は22.36袋(60kg)であるhuila.gov.coL1
コーヒー産業は県内35市町村に及び、103,700農場・88,011生産者世帯が関わるとされるagronegocios.coL3
平均農園面積は1.5ヘクタールとされる。perfectdailygrind.comL3
栽培面積上位の市町村は2026年上半期時点でピタリト17,790ha(県の11.85%)・アセベド14,319ha・ラプラタ11,550haとされるagronegocios.coL3
ピンクブルボンはコロンビア南部ウイラ県が原産地とされる。Rodrigo Sanchez Valenciaのチームがフィンカ・モンテブランコで2010〜2014年の間に確認した(Aromas del Surのチームが2013年に見つけたとも語られる)とされる一方、1980年代にアセベド市サンアドルフォ地区で最初に現れたとの語りもあり、その出所を確かめた情報は無いcolipsecoffee.comL3
2010〜2014年ごろ、ウイラ南部の農園でピンクブルボンが再び栽培されるようになり、さび病耐性への評価から生産者の間で広がったとされる。colipsecoffee.comL3
ピンクブルボンは当初、赤ブルボンと黄ブルボンの交雑種と考えられていたが、遺伝子検査でエチオピアの在来系統に起源を持つ可能性が示されたとされる。colipsecoffee.comL3
コロンビア産業商業監督庁(SIC)は決議第17989号(2013年4月付)で「カフェ・デ・ウイラ」をウイラ県産に限定した保護原産地呼称として宣言した。sic.gov.coL1
コロンビアのウイラ県は、2020/21年度のコーヒー生産量で国内第1位であり、全国生産の18.37%を占めた。huila.federaciondecafeteros.orgL2
ウイラ県は全国のコーヒー収穫量の19.65%を占め(2025年)、国内首位は15年連続であるhuila.gov.coL1

百科

位置と地形

ウイラ県はコロンビア南西部の県で、東コルディレラ(Cordillera Oriental)と中央コルディレラ(Cordillera Central)にまたがり、両山系の間をマグダレナ川の上流部が流れる谷に位置します。県内には活火山ネバド・デル・ウイラ(標高約5,364m)があり(国内での順位を第4位とする資料があります)、この火山を中心とするネバド・デル・ウイラ国立公園はトリマ・ウイラ・カウカの3県にまたがり総面積163,842.33ヘクタールに及びます。ウイラ県に管轄が及ぶ国立自然公園は他にクエバ・デ・ロス・グアチャロス、プラセ、スマパス、セラニア・デ・ロス・チュルンベロスがあり、県内の保護地域は、この5公園に6つの地方公園・1つの統合管理区・28の市町村公園を加えた合計で549,840ヘクタールとされます。コーヒー栽培の標高帯は資料により幅があり、概ね1,200〜1,800メートルとする記述と、高標高帯は1,700〜2,000メートルとする記述があります。県内でも市町村によって気候差があり、ガルソン近郊のコーヒー農地は平均気温22〜29度と個別農園の解説記事に記されていますが、これは県全体の気象統計ではなく、市町村ごとの標高と山系の位置関係による違いの一例です。

産業構造

ウイラ県は県別の生産量で15年連続の首位が続くとされ、2025年の生産は250万袋(60キログラム換算)、全国生産に占める割合は19.65%(2024年は19.08%)と報じられています。栽培面積は2025年11月時点で149,487ヘクタール(2025年を149,466ヘクタールとする報道もあり、2026年上半期には150,135ヘクタールに増加)で、単収は1ヘクタールあたり平均21.8袋と全国平均の19.7袋を上回り、2026年上半期の報道では22.36袋です。コーヒー産業は県内35市町村に及び、103,700農場・88,011生産者世帯が関わるとされます。平均農園面積は1.5ヘクタールで、生産者の約80%が3ヘクタール未満の農地で栽培する小規模農家です。小規模農家は家族労働が中心で、雇用労働の導入は稀とされます。栽培面積の上位はピタリト・アセベド・ラプラタの各市町村とされます(2026年上半期の報道)。ウイラ・コーヒー生産者委員会(Comité de Cafeteros del Huila)は全国コーヒー生産者連合会(FNC)の地域組織として県内35市町村・9地区に事務所を持ち、ネイバに地域本部を置くとされますが、設立日として挙げられる年月日が全国のFNC設立年と同一で、県支部固有の設立日か転記かの確認は取れていません。

品種: ピンクブルボン

ピンクブルボンはコロンビア南部ウイラ県が原産地とされ、2010〜2014年ごろにRodrigo Sanchez Valenciaのチームがフィンカ・モンテブランコで確認したとされ、1980年代にアセベド市サンアドルフォ地区で最初に現れたとの話もありますが、後者の出所を確かめた情報はありません。2010〜2014年ごろ、ウイラ南部の農園で再び栽培されるようになり、さび病への耐性が評価され生産者の間で広がったとされます。当初は赤ブルボンと黄ブルボンの交雑種と考えられていましたが、遺伝子検査でエチオピアの在来系統に起源を持つ可能性が示されたとする記述もあります。これらはいずれも一次資料での裏付けまでは確認できていません。国全体で見られるブルボン・カスティージョ・カティモール・カツーラ・コロンビア・ティピカという品種構成に加え、ウイラではこのピンクブルボンが地域を代表する品種として語られ、日本の商品名にもゲイシャなど他の品種名と並んで現れます。

精製

国全体で伝統的にウォッシュトが主体という傾向はウイラにも当てはまるとされますが、ウイラに限定した精製比率の統計は確認できていません。ウイラは1〜5ヘクタール規模の小規模農家が農園単位で精製まで手がける産地とされ、同じ県内でも農園ごとの精製設備の違いがロットの個性につながっていると語られます。商品名にはアナエロビック(嫌気性発酵)など発酵系の精製語も見られます。

原産地呼称・地理的表示

コロンビア産業商業監督庁(SIC)は決議第17989号(2013年4月16日付)で「カフェ・デ・ウイラ」を、国レベルの「カフェ・デ・コロンビア」とは別に、ウイラ県産に限定した保護原産地呼称として宣言したとする記述がありますが、SIC公式サイトは証明書エラーで直接閲覧できず、この決議の内容は未確認です。同じ記述によれば、SICはこの呼称保護を理由に類似の民間商標の登録出願を拒絶した事例があるとされますが、案件の詳細も未確認で、決議原文もSICのサイト不具合により今回は確認できていません。

典型として語られる香味

ウイラのコーヒーは、国全体で語られる明るい酸と甘みのバランスに加え、果実味の強さで語られる傾向があります。ピンクブルボンは独特の甘さと複雑な香りの品種として語られることが多く、ゲイシャは花のような香りで語られる傾向があります。これらは産地・品種の傾向として一般に共有されている表現であり、個々のロットの評価ではなく、実際の味は農園・精製・収穫時期によって変わります。

買い方の手引き

商品名の読み方

日本の生豆卸や焙煎店では「コロンビア/スプレモ・ウィラ・農園名」「Colombia Huila 農園名」のように、産地名の後に等級(スプレモ・エクセルソ)または農園名(Finca)が続く並びが典型です。農園名の代わりに「サンアグスティン」のような市町村名が単独で書かれることもあります。品種名としてピンクブルボンやゲイシャが商品名に含まれることがあり、これらは県内の一部地域で栽培が広がった品種です。

表記のゆれ

国内の商品名では「ウィラ」の表記が「ウイラ」より圧倒的に多く使われます。県名としての正式な読みは「ウイラ」ですが、店の商品名を探すときは「ウィラ」表記も確認する必要があります。英字表記「Huila」も一部の店で使われます。

収穫と入荷

ウイラは主収穫が11月〜1月、副収穫が5月〜7月で、カウカ・ナリーニョとは主副が逆転します。ウイラ限定の輸出統計・国内入荷月の一次資料は確認できていません。生豆は800g・2kg・5kg・10kgといった内容量で流通し、焙煎豆は100g単位の商品が中心です。デカフェの取り扱いは他の産地に比べて目立って多いわけではありません。

内容量と比較

生豆価格ボードは産地×規格(ウイラ×スプレモ等)で店をまたいで比べます。農園名だけで規格の書かれていない単一農園ロットは比較の対象外です。焙煎豆は100g換算で店をまたいで比べられます。ピンクブルボンやゲイシャのような品種を前面に出した商品は、同じ県内でも一般的な等級表記のロットとは別の価格帯で流通する傾向があります。

観測

コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。

規格別の相場(生豆・商社規格が読める銘柄だけ)

規格銘柄店100g 中央値
ウイラ スプレモ102¥234ボードで見る →
ウイラ EP11—ボードで見る →

観測した商品

46銘柄 / 10店 / 在庫あり 15 / 100g中央値 ¥3,700

Scrop COFFEE ROASTERSコロンビア デカフェ ウィラ¥1,035 /100g在庫あり2026-10-12
Roast Design Coffeeコロンビア ディカフェ ウィラ¥1,290 /100g在庫あり2026-10-12

ほか16銘柄。

関連の記事

コーヒーベルトとは — 中南米・アフリカ・アジア太平洋、三大産地の味の傾向を地図と観測データで整理 →コーヒーが育つのは赤道を挟む南北約 25 度の帯「コーヒーベルト」です。標高と気温が決める栽培条件、三大産地(中南米・アフリカ・アジア太平洋)の味の傾向と主要国、国内の専門店でどの産地がどれだけ買えるかを観測データで整理します。