ORIGIN — COUNTRY / TEA
ダージリン
DARJEELING
インド北東部、ヒマラヤ山麓の丘陵で作られる紅茶の産地。地理的表示で 87 の茶園が定められ、一番摘み・二番摘み・秋摘みの収穫期と茶園名、ロット番号が商品名に並ぶ。観測所は産地×茶園×収穫期で店をまたいで比べる。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| 「Darjeeling」はインドの地理的表示(GI)登録番号 127(語)・227(ロゴ)として 2003 年 10 月 27 日に登録され、EU でも 2006 年に共同体団体標章として登録された | teaboard.gov.in | L2 |
| インド茶業委員会(Tea Board of India)は「ダージリン茶」を名乗れる茶園を 87 園の一覧で定めている。一覧には登録名と通称が併記される(例えば 79 番「Tukvar (Puttabong)」) | teaboard.gov.in | L2 |
| 西ベンガル州の茶園名簿には各園の登録番号・総面積・茶畑面積・生産量・所属団体(DTA など)・製茶の種類(O オーソドックス/G 緑茶/OR 有機)が申告値として載る | teaboard.gov.in | L2 |
| ダージリンの茶園は西ベンガル州ダージリン県の丘陵部にあり、標高はおおむね 300〜2,000m の斜面に広がる(茶園ごとの申告値。例えばプッタボン茶園は下限 460m または 150m と資料で食い違い、上限約 1,980m) | jayshreetea.in | L1 |
| ダージリンでの茶の試験栽培は 1841 年、初代の行政官 Archibald Campbell が自宅近くで始めたとされ、商業栽培の茶園は 1852 年ごろに開かれた | en.wikipedia.org | L3 |
| 茶園の多くは Darjeeling Tea Association(DTA)に加盟し、Tea Board の名簿の所属欄に記される | teaboard.gov.in | L2 |
| 収穫期は 3 月ごろからの一番摘み(ファーストフラッシュ)、5〜6 月の二番摘み(セカンドフラッシュ)、雨季(7〜9 月)のモンスーンフラッシュ、10〜11 月の秋摘み(オータムナル)に分かれる。茶園の資料では 2〜3 月の収量が年間の約 20% を占める例がある | jayshreetea.in | L1 |
| 栽培品種は 19 世紀に持ち込まれた中国種(China bush、Chinary)の実生と、挿し木で増やしたクローナル(AV2、P312、B157、RR17/144、Teesta Valley 1 など)に大別される。茶園によってクローナルの比率は異なる(例えばプッタボン茶園で約 23%) | jayshreetea.in | L1 |
| 製茶はオーソドックス製法の紅茶が主で、緑茶・白茶・烏龍茶風の製法も一部の茶園で作られる(Tea Board 名簿の製茶区分 O・G) | teaboard.gov.in | L2 |
| 等級は葉の形状による表記で、FTGFOP1・SFTGFOP1(フルリーフの上位)、TGFOP、GFOP、FOP、BOP(ブロークン)などが商品名に付く。等級は葉の大きさと芯芽(ティップ)の量を示す記号で、味の格付けではない | en.wikipedia.org | L3 |
百科
位置と地形
ダージリンはインド北東部、西ベンガル州の北端にある丘陵地帯で、北にシッキム州、東にブータン、西にネパールと接します。茶園はダージリンの町を中心に、標高 300m 前後の谷底から 2,000m 近い尾根までの急な斜面に広がり、ひとつの茶園の中で 1,000m 以上の高低差があることも珍しくありません。ヒマラヤ山脈のカンチェンジュンガを望む冷涼な気候と、雨季(6〜9 月)に集中する降雨、朝晩の霧が、この地の茶の性質を作っています。
歴史
茶の試験栽培は 1841 年、ダージリン初代の行政官 Archibald Campbell が自宅近くで中国種の種子を育てたことに始まるとされます。商業栽培の茶園は 1852 年ごろから開かれ、19 世紀後半に英国資本の茶園が次々と作られました。当時持ち込まれた中国種の実生が、今も多くの茶園の主力の茶樹です。20 世紀後半には挿し木で増やすクローナル品種が導入され、AV2、P312、B157 などの選抜系統が一部の区画に植えられています。茶園の所有はインド資本のグループ企業に移り、複数の茶園を持つ企業が多くなっています。
地理的表示と 87 の茶園
「Darjeeling」はインドの地理的表示(GI)として 2003 年に登録され、EU でも 2006 年に団体標章として登録されました。インド茶業委員会(Tea Board of India)は、この名を名乗れる茶園を 87 園の一覧で定め、各茶園に登録番号を付けています。一覧には登録名と通称が併記され、たとえば「Tukvar (Puttabong)」のように、日本で知られる名前が通称の側であることもあります。茶園の多くは Darjeeling Tea Association(DTA)に加盟し、Tea Board の名簿には面積・生産量・製茶の種類が申告値として載ります。
収穫期
ダージリンの茶は年に数回の収穫期に分けて作られ、それぞれ別の商品として流通します。3 月ごろから 4 月の一番摘み(ファーストフラッシュ)は、冬の休眠から目覚めた新芽で、生産量が少なく、茶園によっては 2〜3 月の収量が年間の 2 割ほどです。5〜6 月の二番摘み(セカンドフラッシュ)は葉が育ち、いわゆるマスカテルと呼ばれる香りの表現で語られる収穫期です。7〜9 月の雨季に摘まれるモンスーンフラッシュは量が多く、ブレンドやティーバッグに回ることが多い一方、10〜11 月の秋摘み(オータムナル)は再び単一茶園の商品として並びます。
品種と製茶
茶樹は大きく、19 世紀に持ち込まれた中国種(China bush、Chinary)の実生と、挿し木で増やしたクローナルに分かれます。クローナルは AV2、P312、B157、RR17/144、Teesta Valley 1 などの選抜系統が知られ、茶園ごとに比率が異なります。製茶はオーソドックス製法(萎凋・揉捻・発酵・乾燥)の紅茶が主で、近年は緑茶、白茶、烏龍茶風の製法で作る茶園もあります。ロットは茶園ごとに DJ-1、DJ-2 と通し番号が付き、輸出用のロットには EX- が付くことがあります。
産地の中の区分
ダージリンの茶園は、地形と川筋によって 7 つほどの区域に分けて語られます。ダージリンの町の東と西(ダージリン・イースト/ウエスト)、その南のカーシャン(クルセオン)の北と南、西のミリク、東のティースタ川の谷(ティースタ・バレー)、そしてルンボン川の谷(ルンボン・バレー)です。同じ収穫期でも区域によって標高と日照が違い、茶園名で買い慣れた人は区域ごとの傾向を手がかりにします。日本の店の商品名には区域名は出ないので、茶園ページで所在を確かめる形になります。
等級の記号
商品名に並ぶ FTGFOP1(Finest Tippy Golden Flowery Orange Pekoe 1)や SFTGFOP1 は、葉の大きさと芯芽(ティップ)の量を表す記号で、フルリーフの上位を示します。TGFOP、GFOP、FOP と短くなるほどティップが少なく、BOP はブロークン(葉を砕いたもの)です。これは形状の分類であって味の格付けではなく、同じ FTGFOP1 でも茶園・収穫期・ロットで味は別物です。日本の店の商品名では等級が省かれることも多く、代わりに茶園と収穫期、ロット番号が書かれます。
典型として語られる香味
一番摘みは緑がかった水色と若い葉の香り、軽い渋みで語られ、二番摘みはマスカテルと呼ばれる果実のような香りと厚みで語られます。秋摘みは丸みのある味わいとされます。これらは収穫期ごとの一般的な傾向であり、個々のロットの評価ではありません。
国内での流通
日本には一番摘みが 4 月下旬から、二番摘みが 7 月前後から入り、紅茶専門店を中心に茶園名とロット番号つきで売られます。観測所の紅茶ではダージリンが最も多く、茶園名の取れた商品は百を超える茶園に及び、その一部は複数の店で扱われています(件数は下の「観測」の節に自動で出ます)。同じ茶園の同じ収穫期を店をまたいで比べる紅茶価格ボードと、収穫期ごとの入荷を追うダージリン入荷ボードが、この産地のための観測です。
買い方の手引き
商品名の読み方
ダージリンの商品名は情報量が多く、「ダージリン ファーストフラッシュ 2026年 プッタボン茶園 DJ-20 フラワリー」のように、産地・収穫期・年・茶園・ロット番号・銘柄名が並びます。同じ茶園でも収穫期とロット番号が違えば別の茶で、価格も大きく変わります。「DJ-20」「EX-17」のロット番号はその年の製造ロットの通し番号、「フラワリー」「Moondrop」「クローナル クイーン」は茶園や店が付けた銘柄名で、等級(FTGFOP1 等)とは別のものです。
収穫期ごとの旬と入荷
一番摘み(ファーストフラッシュ)は 3〜4 月に摘まれ、国内の店には 4 月下旬から 6 月にかけて入ります。二番摘み(セカンドフラッシュ)は 5〜6 月に摘まれ、7 月前後に入荷します。秋摘み(オータムナル)は 10〜11 月の収穫で、年末に並びます。前年の一番摘みは春に値下がりや在庫限りになることが多く、ダージリン入荷ボードはその動きを毎朝追っています。収穫年が商品名に無いときは店に確認してください。
等級と内容量
FTGFOP1 や SFTGFOP1 は葉の形状(フルリーフで芯芽が多い)を示す記号で、味の格付けではありません。同じ茶園の同じロットでも 30g・50g・100g で単価が変わり、少量パックほど 100g 換算は高くなります。紅茶価格ボードは「産地×茶園×収穫期」の行で店をまたいで比べ、内容量の違いは 100g 換算で揃えています。ブレンド・ティーバッグ・セットは比較の対象外です。
「ダージリン」の名前
地理的表示の対象は Tea Board が定める 87 茶園の茶だけです。ネパール産のヒマラヤ紅茶は近い性質を持ちますが、別の産地として扱われます。商品名に茶園名が無い「ダージリン ブレンド」は複数茶園の混合で、茶園ページには結びつきません。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
生産者(辞書にあるもの)
マーガレッツホープ茶園17キャッスルトン茶園16タルザム茶園15プッタボン茶園10サングマ茶園9ジュンパナ茶園9ジッダパハール茶園7シンブリ茶園7タルボ茶園7ゴパルダラ茶園5バラスン茶園4アリヤ茶園3リザヒル茶園3フグリ茶園2
観測した商品
ほか225銘柄。
関連の記事
ダージリンは「座標」で買う — 22茶園×3収穫期の実測マップ →ダージリンは銘柄名ではなく、茶園×収穫期の座標で選ぶ紅茶。国内で買える22茶園・64銘柄を機械集計した実測マップと、同じ茶園で値段が3.3倍変わる理由。