ORIGIN — COUNTRY / COFFEE
インドネシア
INDONESIA
スマトラ島を中心にアラビカとロブスタの両方を産する産地で、独自の精製「ウェットハル」が土っぽく重い香味を作る。商品名では国名より「マンデリン」がそのまま産地語として使われる。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| 栽培面積は約120万haで横ばいとされ、スマトラ島が全国面積の6割を占め、南スマトラ(ランプン州・南スマトラ州・ベンクル州)がロブスタ生産の8〜9割を担うとされる | dailycoffeenews.com | L3 |
| スマトラのガヨ(アチェ州)は標高1,110〜1,600mとされ、インドネシア・EU・英国で地理的表示(GI)登録がある | en.wikipedia.org | L3 |
| スマトラのリントンはトバ湖の南西に位置し、アラビカの年間生産量は15,000〜18,000tとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| 「マンデリン」の名はスマトラの民族名マンダイリン(Mandailing)の別綴りマンデリング(Mandheling)に由来するとされる(Wikipediaの曖昧さ回避項の記述) | en.wikipedia.org | L3 |
| ジャワ島のイジェン高原(東ジャワ、標高1,400m超)には大規模エステートが5か所、合計4,000ha超あるとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| スラウェシ島トラジャ地区(南スラウェシ州タナ・トラジャ/北トラジャ)の標高はおおむね1,400〜2,100mとされる(業界サイトの記述、未確認) | specialtycoffee.id | L4 |
| キーコーヒー公式サイトによれば、同社のトラジャ買付先集落の標高はミナンガ1,500m・プルプル1,800m・ウマ1,600mとされる | keycoffee.co.jp | L1 |
| バリ島キンタマーニ地区の「Kopi Arabika Kintamani Bali」は、インドネシア国内で最初に登録されたGI(地理的表示)コーヒーとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| フローレス島バジャワ地区は標高1,200〜1,800mの丘陵地帯とされる | en.wikipedia.org | L3 |
| パプア州のバリエム渓谷・カムー渓谷は標高1,400〜2,000mで、年間生産量は約230tとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| 収穫期はバリ島で年1回(通常7〜9月)、他地域は複数回に分かれるとされる(スマトラ・ジャワの具体的な月は資料間で食い違いがあり未確認) | en.wikipedia.org | L3 |
| 2025年11月、熱帯低気圧シニャール(Sinyar)によりアチェ州のアラビカ12,000ha超が被害を受け、USDAはアチェ・北スマトラの洪水を理由にMY2025/26のアラビカ生産予測を下方修正した | dailycoffeenews.com | L3 |
| USDAの2026年5月年次報告(ID2026-0021)ではMY2026/27の生産予測は11.38百万袋(60kg換算、前年比-8%)で、ロブスタ10百万袋・アラビカ1.38百万袋、MY2025/26は12.37百万袋(うちロブスタ11百万袋)とされる | fas.usda.gov | L1 |
| Wikipediaは2025年時点で世界4位の生産国と記し、USDAのエチオピア向け報告でも「ブラジル・ベトナム・コロンビア・インドネシア」の順で挙げられる | en.wikipedia.org | L3 |
| 輸出比率はWikipediaで「アラビカ25%・ロブスタ75%」とされ、USDAの生産予測ではアラビカが11.38百万袋中1.38百万袋(約12%)となる | en.wikipedia.org | L3 |
| USDAは栽培面積の約98%を1〜2haの小規模農家が占めるとし、Wikipediaは「9割超が平均約1haの小規模農家、推定200万戸」と記す | fas.usda.gov | L1 |
| MY2026/27の生豆輸出予測は7百万袋(-11%)で、欧州向けが2.4百万袋(+72%、ベルギー・ドイツ中心)、米国向けが797千袋(3位、うちアラビカが6〜8割)とされる | dailycoffeenews.com | L3 |
| キーコーヒー公式サイトによれば、同社(当時・木村コーヒー)は1973年4月にスラウェシへ調査に赴き、1975年に現地子会社PT Toarco Jayaを設立、1977〜78年に横浜向けの初荷を発売した。2002年以降は自社農園(プダマラン)に加え周辺の小農家からの買付を拡大している | keycoffee.co.jp | L1 |
| インドネシアの国家規格SNI 01-2907-2008ではグレード1は生豆300g中の欠点値11以下とされ、輸出用アラビカは一般にグレード1とされる(業界サイトの記述、未確認) | specialtycoffee.id | L4 |
| 「ウェットハル(ギリンバサ)」はインドネシア語で「湿った状態で挽く」の意味で、果肉除去・一晩の発酵・洗浄の後、水分30〜35%程度残るうちに脱殻し12%まで乾燥させる工程とされ、スマトラ・スラウェシ・フローレス・パプアの小規模農家に多い | en.wikipedia.org | L3 |
| 精製はほぼ全量が乾式(少数のアラビカ農家と大半のロブスタ農家)・ギリンバサ(小農家の大半)・フルウォッシュト(大規模ミル・エステート・協同組合)の3区分で語られる | en.wikipedia.org | L3 |
| 商業栽培される品種群にはティピカ、ヒブリド・デ・ティモール(HDT、通称「ティムティム」)、リニエS(S-288・S-795)、エチオピア系統、カツーラ、カティモールなど20品種超があるとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| S795はインドの中央コーヒー研究所(Central Coffee Research Institute)が育成した品種で、S288とケントの交配にコフィア・リベリカの遺伝子が入るとされる。樹高が高く大粒・多収とされる | varieties.worldcoffeeresearch.org | L2 |
| ロブスタは1900年にさび病対策として東ジャワへ導入され、1915年にはクリンチ周辺の小規模農家へ、1920年代には南スマトラへ広がったとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| Wikipediaによれば、オランダは1696年にアラビカの苗をインドネシアへ導入し、1699年に2便目を送った。1711年に欧州へ初めて輸出し、1717年には2,000ポンドを送ったとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| 1876年にさび病(Hemileia vastatrix)による壊滅的な被害があったとされる | en.wikipedia.org | L3 |
| 全日本コーヒー協会によると2025年の日本の生豆輸入総量は359,382tで、上位3か国(ブラジル・ベトナム・コロンビア)で全体の約4分の3を占める | coffee.ajca.or.jp | L2 |
| インドネシアからの日本の生豆輸入量は2024年時点で概算約25,000t・シェア約7%で4位とする資料があるが、2025年の順位はエチオピアとの前後関係が資料により異なり未確認 | vietnam-gift.com | L4 |
百科
位置づけ
インドネシアは世界第4位前後の生産国で、アラビカとロブスタの両方を産する数少ない産地です。輸出の大半をロブスタが占める一方、日本の専門店の棚に並ぶのは主にスマトラの「マンデリン」に代表されるアラビカで、独特の精製方法「ウェットハル(ギリンバサ)」が香味の個性を決めています。国土がスマトラ・ジャワ・スラウェシ・バリ・フローレス・パプアと島々に分かれるため、産地ごとに標高・気候・精製の慣行が大きく異なります。
産地
日本の店の商品名によく出てくるのは次の島・地域です。
- スマトラ(Sumatra): 全国の栽培面積の6割を占める産地です。北部のアチェ(Aceh)にガヨ地区(標高1,110〜1,600m)があり、地理的表示(GI)登録があります。トバ湖南西のリントン(Lintong)、湖畔一帯を指すトバ(Toba)も産地名として使われます。
- ジャワ(Java): 東ジャワのイジェン高原(標高1,400m超)に大規模エステートが集まる、古くからの農園栽培地です。
- スラウェシ(Sulawesi): 南部のトラジャ(Toraja)地区(標高おおむね1,400〜2,100m)が代表産地です。
- バリ(Bali): キンタマーニ(Kintamani)地区は、インドネシア国内で最初に登録されたGIコーヒーの産地です。
- フローレス(Flores): バジャワ(Bajawa)地区(標高1,200〜1,800m)が代表産地です。
- パプア(Papua): バリエム渓谷・カムー渓谷(標高1,400〜2,000m)が産地ですが、年間生産量は約230tと小規模です。
南スマトラ(ランプン州・南スマトラ州・ベンクル州)は国内ロブスタ生産の8〜9割を担う地域で、輸出向けアラビカとは別の産地として扱われます。
生産の仕組み: 小規模農家とウェットハル
USDAの推計では、栽培面積の約98%を1〜2haの小規模農家が占めるとされ、Wikipediaも「9割超が平均約1haの小規模農家、推定200万戸」と記しています。大規模な単一農園はジャワの一部などに限られ、スマトラ・スラウェシ・フローレス・パプアの多くは小規模農家がチェリーを庭先で精製する体制です。日本企業の例としては、キーコーヒー(当時・木村コーヒー)が1973年にスラウェシへ調査に赴き、1975年に現地子会社PT Toarco Jayaを設立、1977〜78年に横浜向けの初荷を発売しました。当初は自社農園(プダマラン)中心でしたが、2002年以降は周辺の小農家からの買付を拡大しています。
規格
輸出アラビカの多くは国家規格SNI 01-2907-2008のグレード1に相当し、この規格では生豆300gあたりの欠点値11以下がグレード1の基準とされます。ロブスタには別の規格記号(AP-1・WIB-1など)が使われ、アラビカのG1とは体系が異なります。日本の生豆卸の商品名にも「マンデリンG1」のようにこのグレード表記がそのまま使われます。
精製: ウェットハルという個性
インドネシアの精製の個性は「ウェットハル(ギリンバサ、Giling Basah)」と呼ばれる方法です。インドネシア語で「湿った状態で挽く」を意味し、果肉を除いて一晩発酵させ洗浄したあと、水分がまだ30〜35%程度残るうちに脱殻し、その後12%程度まで乾燥させます。この工程は雨季の多い気候の中で豆を早く乾かすために発達したとされ、生豆が青緑色を帯びる特徴があります。この方法はスマトラ・スラウェシ・フローレス・パプアの小規模農家に多く見られる一方、大規模なミルやエステート、協同組合ではフルウォッシュトも行われ、精製は乾式・ギリンバサ・フルウォッシュトの3つに大別されます。
品種
商業栽培される品種には、ティピカ、ヒブリド・デ・ティモール(HDT、通称「ティムティム」)、リニエS(S-288・S-795)、エチオピア系統、カツーラ、カティモールなど20品種超があるとされます。S795はインドの中央コーヒー研究所が育成した品種で、樹高が高く大粒・多収とされます。ロブスタは1900年にさび病対策として東ジャワへ導入され、1920年代には南スマトラへ広がりました。日本の商品名では品種名が書かれることは少なく、産地名や等級が優先されます。
典型として語られる香味
インドネシアのコーヒー、特にマンデリンは、低い酸と重いボディ、土やハーブ、スパイスを思わせる香味として語られることが多く、ウェットハルという精製方法がその個性を作っているとされます。トラジャはやや軽く、ジャワは古くからの農園栽培で整った味として語られる傾向があります。これらは産地の傾向として一般に共有されている表現であり、個々のロットの評価ではありません。
歴史
オランダは1696年にアラビカの苗をインドネシアへ導入し、1699年に2便目を送りました。1711年に欧州へ初めて輸出し、1717年には2,000ポンドを送ったとされます。1876年にさび病(Hemileia vastatrix)による壊滅的な被害があり、この対策として1900年に東ジャワへロブスタが導入されたのが、現在の生産の多くをロブスタが占める構造の起点になりました。20世紀後半にはスラウェシのトラジャで日本企業による産地の再興が進み、近年はガヨ・キンタマーニなど各地でGI登録が進んでいます。
買い方の手引き
商品名の読み方
日本の生豆卸や大手商社では、国名を書かずに「マンデリン」を産地名の代わりとして使う表記が多く見られます(「マンデリンG-1」「スマトラ マンデリン」など)。生豆卸では「マンデリンG-1プラス・キング・ハバール」のように、等級の後に商社ブランド名(キング・ハバール、ゴールドトップ、ブルーバタックなど)が続く型が典型です。スラウェシ産は「トラジャ」、バリ産は「キンタマーニ」のように島の下の地域名がそのまま銘柄名になります。
等級と精製の見方
「G1」はグレード1(輸出用アラビカの標準的な等級)を示し、G2以下はほとんど流通しません。ロブスタには「AP-1」「WIB-1」のような別の規格記号が使われ、アラビカの等級とは体系が異なるので注意が必要です。精製は「ウェットハル」「スマトラ式」と明記されるのは実は少数で、書かれていない場合も大半がウェットハルで処理されています。「ウォッシュド」「ナチュラル」と明記されたロットは、標準的なウェットハルと異なる処理を選んだことを示します。
旬と入荷の時期
収穫期はバリ島で年1回(7〜9月ごろ)、スマトラやジャワは複数回に分かれるとされますが、具体的な月は資料によって幅があり、本ページでは確定した数値を示していません。入荷の時期は生豆価格ボードの新着履歴で確認できます。
内容量と価格の目安
観測所の相場は下の「観測」の節に自動で出ます。インドネシアはデカフェや有機認証の商品が他の産地に比べて少ない産地です。生豆は「マンデリンG1」の規格で店をまたいで比較でき、生豆価格ボードの産地×規格の行がその比較です。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
観測した商品
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