ORIGIN — REGION / COFFEE
イルガチェフェ
YIRGACHEFFE / イルガチェフ / イルガチョフ / イルガチェッフェ
エチオピア南部、ゲデオ県のウォレダの名前がコーヒーの産地名として定着した銘柄。ウォッシングステーション名と等級(G1/G2)、精製が商品名に並び、ウォッシュトとナチュラルの双方が流通する。
事実
| 事実 | 出典 | 階層 |
|---|---|---|
| イルガチェフェは行政上は南部諸民族州ゲデオ県内の一つの郡(ウォレダ)の名前である | en.wikipedia.org | L3 |
| ゲデオ県の面積は1,210.89平方キロメートル、2007年国勢調査時点の人口は847,434人(人口密度699.84人/平方キロメートル)、都市人口比率12.72%、世帯数179,677(1世帯平均4.72人) | en.wikipedia.org | L3 |
| 県内の標高はアバヤ湖付近の1,268メートルからハロ・ウォラブ池付近の2,993メートルまで幅がある | en.wikipedia.org | L3 |
| ゲデオ県を構成する郡(ウォレダ)の数と内訳は資料により、8郡+行政都市部、または6郡と幅がある。 | en.wikipedia.org | L3 |
| 土壌は火山起源の赤褐色ニティソル、または深い赤色の粘土質ロームとされる。 | gevi.com | L3 |
| 人口の86.14%がゲデオ人、86.82%がゲデオ語を第一言語とする(2007年国勢調査) | en.wikipedia.org | L3 |
| 2005年に終わる年度でシダマ・ゲデオ両県合計の生産量は63,562トンに達し、南部諸民族州全体の生産の63%、エチオピア全体の28%に相当した(当時はシダマ州の分離前) | en.wikipedia.org | L3 |
| イルガチェフェ・コーヒー農民協同組合連合(YCFCU)は2002年設立で、28の一次協同組合・43のウォッシングステーションからなり、38,000を超える農家、30万人を超える家族を支えるとされる | algrano.com | L3 |
| YCFCUの自己申告は28組合・45,094農家・約62,000ヘクタールで、組合数は他の資料の記述と一致するが、農家数は資料によって異なる。 | yirgacheffeunion.com | L2 |
| 商品名や商社の解説に現れるウォッシングステーション(水洗処理場)の名前にはアリチャ・コチェレ・イディド・ウェナゴ・ベロヤ・コンガ・ゲデブチェルベサ・ウォルカがあり、いずれも協同組合または輸出業者が運営する処理場の名前で農園名ではない | trabocca.com | L3 |
| エチオピア政府は2004年、ハラー・シダモ・イルガチェフェの3産地名を対象とする商標化・ライセンシングの取り組み(エチオピア・コーヒー商標化・ライセンシング・イニシアチブ)を始めた | academic.oup.com | L2 |
| 米国では2005年3月にエチオピア政府がイルガチェフェ・ハラー・シダモの商標登録をアメリカ特許商標庁(USPTO)に出願し、イルガチェフェは2006年8月8日に登録番号3126053として登録された | trademarks.justia.com | L3 |
| エチオピアとスターバックスの間の商標を巡る対立は、2006年に、スターバックスがハラー・シダモ・イルガチェフェの名称についてのエチオピアの権利を認める自主的なライセンス許諾合意に達したと発表されたことで収束した | academic.oup.com | L4 |
| イルガチェフェ(ゲデオ県)のコーヒー栽培地は、標高1,200mから3,200mの範囲に分布するとされる。 | projectorigin.coffee | L1 |
| イルガチェフェのコーヒーは、コンガ・コケ・イディドなど複数のウォッシングステーションでウォッシュト方式とナチュラル方式の双方により精製されるとされる。 | projectorigin.coffee | L1 |
| エチオピアのゲデオ県で衛星画像から特定されたコーヒー栽培地は、標高1,500〜2,300メートルの範囲に多く分布する | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
| エチオピアのゲデオ県における1991〜2021年の30年平均年間降水量は、1,093.02〜1,667ミリメートルの範囲である | pmc.ncbi.nlm.nih.gov | L2 |
| イルガチェフェを含むエチオピアの商標・ライセンス制度には、2009年8月時点で29か国が署名していた | econstor.eu | L2 |
| オックスファムの国際キャンペーン後に生じた商標コーヒーの価格上昇は、農家の取り分が一定なら所得の7〜16%増加に相当すると推計された | econstor.eu | L2 |
百科
位置と地形
イルガチェフェはコーヒー業界での呼び名で、行政区分としては南部諸民族州(SNNPR)のゲデオ県内にある一つの郡(ウォレダ)の名前です。ゲデオ県全域で採れる豆を業界がまとめて「イルガチェフェ」と呼び、エチオピア商品取引所(ECX)もゲデオ産をまとめてイルガチェフェとして格付けします。ゲデオ県の面積は1,210.89平方キロメートル、2007年の国勢調査時点の人口は847,434人(人口密度699.84人/平方キロメートル)で、都市人口の比率は12.72%、世帯数は179,677(1世帯あたり平均4.72人)とされます。県を構成する郡(ウォレダ)の数と内訳は資料によって食い違い、Wikipediaは8郡と行政都市部を挙げ、業界解説は6郡と記します。
気候と土壌
県内の標高はアバヤ湖付近の1,268メートルからハロ・ウォラブ池付近の2,993メートルまで幅があります。ゲデオ県で衛星画像から特定されたコーヒー栽培地は標高1,500〜2,300メートルの範囲に多く分布するとされます(2024年)。このほかイルガチェフェ郡のコーヒー栽培帯の標高を1,700〜2,200メートル、または1,800〜2,100メートルとする記述や、ゲデオ県の栽培地を1,200〜3,200メートルの範囲とする記述があり、資料によって幅があります。土壌は火山起源の赤褐色ニティソル、または深い赤色の粘土質ロームと説明されることがありますが、いずれも一般的な解説にとどまり、土壌調査報告書での裏付けは確認できていません。ゲデオ県の1991〜2021年の30年平均年間降水量は1,093.02〜1,667ミリメートルの範囲とされます(2021年)。年間降水量を約1,129ミリメートルとする記述もありますが、気象局等の一次資料は未確認です。人口の86.14%がゲデオ人、86.82%がゲデオ語を第一言語とすると2007年の国勢調査は記しています。
産業構造: 小規模農家とウォッシングステーション
2005年に終わる年度でシダマ・ゲデオ両県合計の生産量は63,562トンに達し、これは南部諸民族州全体の生産の63%、エチオピア全体の28%に相当したと記録されています。ゲデオ県のコーヒー生産を束ねるイルガチェフェ・コーヒー農民協同組合連合(YCFCU)は2002年に設立され、28の一次協同組合と43のウォッシングステーションからなり、38,000を超える農家、30万人を超える家族を支えるとされます。連合自身の公式サイトは28組合・45,094農家・約62,000ヘクタールという別の数字を記しており、組合数の28は一致するものの農家数は資料によって開きがあります。商品名や商社の解説に現れるウォッシングステーション(水洗処理場)の名前には、アリチャ、コチェレ(コチャレ)、イディド、ウェナゴ、ベロヤ、コンガ、ゲデブチェルベサ、ウォルカなどがあり、これらは協同組合や輸出業者が運営する処理場の名前で、農園名ではありません。
品種と精製
品種はエチオピア全体の在来種(ハイルーム)中心という傾向がここでも当てはまり、イルガチェフェ地域に固有の系統名を示す資料は見つかっていません。精製はウォッシュト(水洗式)が普及の経緯からこの地域で定着したとされ、近年はナチュラル(乾燥式)も広く作られ、同じステーションの同じ収穫からウォッシュトとナチュラルの双方が出ることも珍しくありません。国内の店では、同じステーション名で精製違いの2銘柄を並べて売る例も見られます。輸出の仕組みが取引所経由から生産者・組合の直接輸出へ広がった経緯はエチオピア全体の変化として親のページに既出ですが、ウォッシングステーション名が商品名にそのまま書かれるようになったのはこの変化の結果で、イルガチェフェはその中でもステーション名の書き分けが特に細かい地域です。
原産地呼称・地理的表示
エチオピア政府と協同組合・輸出業者の連合は2004年、ハラー・シダモ・イルガチェフェの3産地名を米国・欧州・日本・カナダ等の主要市場で商標登録する取り組みを始めました。米国では2005年3月にエチオピア政府がイルガチェフェ・ハラー・シダモの商標登録をアメリカ特許商標庁(USPTO)に出願し、イルガチェフェは2006年8月8日に登録番号3126053として登録されています。スターバックスが2004年に別の商標を出願していたため出願が一時進まず、2006年にスターバックスがハラー・シダモ・イルガチェフェの名称についてのエチオピアの権利を認める自主的なライセンス許諾合意に達したと発表したことで、対立は収束したとされます。商標化後の効果として、2009年までに世界の輸入業者と約100件のライセンス契約が結ばれ農家の収入が1キログラムあたり6〜8ドルへほぼ倍増した、商標化された産地の豆は非商標の豆より価格が上がった、とする推計がありますが、いずれも学術論文の要約経由で本文は未確認です。一方、オックスファムの国際キャンペーン後に生じた商標コーヒーの価格上昇は、農家の取り分が一定なら所得の7〜16%増加に相当すると推計されています。
典型として語られる香味
イルガチェフェのウォッシュトは、シトラスやジャスミンのような花の香り、ベルガモットや紅茶を思わせる軽さと明るい酸で表現されることが多く、ナチュラルはベリーや熟した果実、ワインのような甘さで語られる傾向があります。これらは産地の傾向として一般に共有されている表現であり、個々のロットの評価ではありません。実際の味は精製・ステーション・収穫年・焙煎度によって変わります。
買い方の手引き
商品名の読み方
日本の生豆卸や焙煎店の商品名は、「エチオピア/イルガチョフG-1ウォッシュド・コチャレ」「エチオピア イルガチェフェ・コンガG1W」のように、産地名の後に等級(G1・G2)、精製、ウォッシングステーション名(コチェレ/コチャレ、イディド、コンガ、ウォルカ、アリチャ、ゲデブチェルベサ等)が続く並びが典型です。楽天市場では「コーヒー生豆 エチオピア モカ イルガチェフG1」のように「モカ」を挟む表記もよく見られ、これは紅海のモカ港経由でこの地の豆が広まった歴史に由来する呼び名です。ステーション名は農園名ではなく、協同組合や輸出業者が運営する水洗処理場の名前です。
表記のゆれ
「イルガチェフェ」「イルガチェフ」「イルガチョフ」「イルガチェッフェ」「Yirgacheffe」など複数の表記が併存し、店によって使う綴りが違います。ステーション名も「コチェレ」と「コチャレ」のように揺れます。産地の同一性を確認するときは、これらの表記ゆれをまたいで見る必要があります。
精製と等級の見方
ウォッシュト(水洗式)とナチュラル(乾燥式)の双方が流通し、同じステーション名でも精製違いの商品が並ぶことがあります。等級はG1が最上位、G2が続きます。等級は欠点豆の少なさを示す規格であって、精製や収穫年が違えば同じ等級でも味は変わります。生豆価格ボードでは産地×規格(イルガチェフェ×G1等)で店をまたいで比べます。単一のウォッシングステーションに限定したロットで規格表記の無いものは比較の対象外です。
収穫と入荷
収穫期・国内入荷時期のイルガチェフェ限定の統計は確認できていません。標高の高い産地であることから、国全体の収穫期(10月〜1月)よりやや遅めにずれる可能性はありますが、裏付けは取れていません。収穫年の明記された「ニュークロップ」表記が商品名に付くことがあり、その年の新しい収穫かどうかの手がかりになります。生豆は1kg・5kg・10kg・正袋30kgといった内容量で流通し、焙煎豆は100g・150g・200gの小袋が中心です。デカフェは他の産地に比べて少ない傾向があります。
観測
コピチャ観測所が公開情報から機械収集した商品のうち、この項目に一致するもの。価格は在庫ありの行の最安 100g 換算。
観測した商品
ほか230銘柄。
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